女子短距離界に新星現わる。期待の高校生「変化」に気づき、急成長 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 昨年出場した、高校1年までが出場する国体少年女子B100mでは、準決勝で11秒66の大会新を出して注目され、少年女子B走り幅跳びとの2冠を獲得した御家瀬。

 今年のシーズン2試合目だった6月13日からの北海道高校選手権では、気温11度で小雨が降る悪条件の中、追い風0.9mで11秒63と自己記録を更新していた。このとき、指導する中村宏之監督は「まだ高2だし、日本選手権はもう少し力をつけてから」と考えていたが、8月のインターハイまでは時間が空くこともあり、御家瀬に「(日本選手権に)出てみるか?」と提案。その一言で状況は変わった。

「(日本選手権は)初めてだったので、挑戦者という気持ちで何も背負うものなく集中して走れました。予選は決勝にいけたらいいなくらいの気持ちでしたが、『セット』と言われるまで、すごく緊張して心臓がバクバクしていて『(自分でも)大丈夫かな?』と思うくらいでした。スタートしてすぐに躓(つまず)いた以外は何も覚えていないぐらい緊張していたけど、タイムもそんなに悪くなかったので、決勝は緊張しないで走れました。

 でも、終盤になったらそんなに離れていないところに3人いて、表彰台に上がりたいと思って力んでしまい、走りがバラバラになってしまいました。天気がよかったので、どのくらいのタイムが出せるか楽しみでしたし、全道以上の走りができれば食い込めるかなという気持ちになっていたけど、うまくいかなかったですね」

 北海道札幌市生まれの御家瀬が陸上を始めたのは、小学2年のとき。元々活発な性格で、もっと強くなりたいとの思いから、地元のクラブチームを出て、中村監督が指導する北海道ハイテクACジュニアには小学6年生で入った。だが、小6の全国小学生交流大会では走り幅跳びで優勝したものの、全日本中学選手権では、100mで3年時に準決勝敗退、走り幅跳びで3年時に4位が最高と、優勝は遠かった。

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