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北京五輪銅メダルの高平慎士が
冷静に分析する、東京五輪の4×100m (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 写真●新華社/アフロphoto by Shinkasha/AFLO

――今年の世界選手権ロンドン大会では藤光謙司選手が重要な役割を果たしましたが、若い選手が多い今だからこそ、ベテランの存在が頼もしく映ります。

「今回、藤光選手がいたからこそ、桐生選手がより一層力を発揮できたのではないかと思います。メダルを獲るまでに、桐生選手は相当きつい期間を経験していましたし、飯塚(翔太)選手も『特に今年はメンバーに助けられた』と言っていましたが、そういった実感があるからこそ、次はチームを引っ張る存在になることができるのだと思います。

 私も藤光選手なら心配ないと思って見ていました。経験値が豊富にある選手がいることは、他の選手にとってもスタッフにとっても重要なことだし、それを知っているメンバーが多いチームのほうが、強く長く生き残ると思っています。今後、サニブラウン(アブデル。・ハキーム)選手も貴重な戦力になることは間違いありませんし、バトンの技術などはまだまだ伸びしろがあります。練習に参加する中で彼がチームをいかに高めてくれるか、期待して見ていきたいです」

――世界の4継(4×100m)をみると、ウサイン・ボルトが引退するジャマイカは若手が伸びておらず、アメリカとイギリスが2強という状況です。

「世界選手権で優勝したイギリスは、ヨーロッパ新記録の37秒47を出すまでに速くなっていますし、メンバーの年齢も日本と変わらないくらいに若い。アメリカも、バトンミスが少なくなっていますから強いですよ。今年の世界選手権では、日本の結果が最も番狂わせだったと思います。私たちが北京五輪でメダルを獲ったのもジャイアントキリングみたいなところがあったんですけど、『協力して技術を磨けばメダルを獲れる』という考えは、中国をはじめとしたアジア諸国にも生まれているはずです。

 そう考えると、アメリカとイギリス以外は、16番目くらいまでほぼ同じ条件だと思います。各国がメダル獲得を目標にし、その結果が8位入賞といった世界になるんじゃないかと予想しています。『日本チームのバトン技術は高い』と慢心すれば、すぐにつけ込まれるという自覚を持たなければいけません」

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