2017.12.04

ただひとり「世界レベル」の大迫傑。
独自のメソッドで五輪メダルを狙う

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

「タフなレースでした」

 レース後、大迫傑(すぐる/ナイキ・オレゴンプロジェクト)は開口一番、そう言った。

 国内外から実力ある好選手が集まったレースは、途中で有力選手が脱落していくなか、大迫が粘りの走りを見せた。30km以降、勝負どころでペースが上がり、スティーブン・キプロティク(ウガンダ)との2位争いは熾烈を極めた。

 また、前日までは気温が8度前後とかなり冷え込んだが、この日は14度まで上がり、走っている選手にとって日差しは相当な暑さだった。しかし、それでも大迫の走りは最後まで崩れることはなかった。

日本歴代5位の2時間7分19秒で日本勢トップの3位となった大迫傑 第71回福岡国際マラソンは、気温14.1度、湿度57%の中、スタートした。1km約3分のペース―メーカーがつき、すぐ20人ぐらいの大きな先頭集団が形成される。大迫はその集団の真ん中から後方についていた。

 レース中、大迫が唯一不安そうな表情を見せたのは、11.1km地点での給水だった。スペシャルドリンクを取り損ねたのだ。ボストンマラソンではそれぞれの給水で区切りをつけて走るようにして、それがうまくいった。今回もその練習をしてきたのだが、この1回だけミスをした。ただ、困ったような顔をしたのは一瞬だけで、以降もその影響などまったく感じさせず、ストライドの大きなフォームで跳ねるように快走が続いた。

 中間点を超えると大きな集団がバラけてきた。