東海大の苦い教訓。箱根駅伝は「ミスすれば負ける」サバイバル戦に (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Kyodo News

 3.4km付近でトップの浅井峻雅(東洋大)、2位の安田共貴(神奈川大)をとらえたのだ。徐々に浅井が遅れ出し、國行と安田との勝負になった。

「並走して、力を溜めようと思っていました。お互い牽制し合ったんですが、自分がもっとリズムよくいけていれば......。そこで遅いリズムにハマってしまって」

 6区の監督車が停車したポイントでは、両角監督から『攻めるぞ』と声をかけられた。安田が給水をせぬまま走るなか、國行はしっかり給水を取り、冷静に走った。その時、國行は、もう1回仕掛ける最後のチャンスを狙っていた。それがラストの登りから下るポイントだった。

「ラストの登りでギアチェンジして、下りで一気に突き離そうと思ったんですが、意外と離れず、相手がついてきて......。結果的に1秒しか離せなかった。自分が10秒以上離すことができたら(次を走る)三上(嵩斗)も利用されずに走れたと思うし、そうしたらもっと差を開くことができたと思います。区間2位ではダメですね。区間賞は当たり前だと思っていたので、力不足です」

 しかし、國行の区間賞に迫る走りで東海大は息を吹き返した。昨年の箱根駅伝同様、後半区間で上級生がレースを立て直してきたのだ。

 東海大はトップ。2位の神奈川大との差はわずか1秒。3位青学大との差は、53秒となった。

 7区、三上嵩斗(3年)は、軽快に走っていた。いかに差をつけてアンカーの川端に襷を渡すか。それしか考えていなかったという。

「神奈川大にはアンカーに鈴木健吾さんがいたので、並んで渡すのは絶対に避けたい。何秒でもいいのでアドバンテージをつくって、川端さんにラクをさせてあげたいなって思っていました」

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