遅咲きの美女スプリンター市川華菜に「速くなった秘密」を聞いてみた (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 体の状態はよくなっていったが、2016年までは11秒7台を切るタイムが出せずにいた。市川は「ケガをしている時でも、ナショナル合宿に呼んでもらった恩義を感じていましたし、頼られると『やらなくては』と思ってしまう性格なので」と苦笑する。

「昨年は順調に調子を上げることができて、5月の静岡国際で200mの自己ベストを出すことを目標にしていました。でも、午前中の200mの第1レースがなくなって、マイルリレーをやることになったこともあってか、自己ベストを出せませんでした。

 リオへ向けて、マイルリレーが出場権を獲得する可能性が高かったので、まずはリレーで結果を出すことを考えていました。個人種目に集中したい気持ちもありましたが、結果を残してなければ何も言えないと思っていましたから。でも、年齢を重ねるごとに、マイルと200mをどちらも100%で走るのは難しくなってきます。『マイルでも出たいけど、個人種目も頑張りたい』という板ばさみ状態はすごくつらかったですね」

 結局、マイルリレーでのリオ五輪出場はかなわず、その挑戦が終わった時は「もう走りたくない」という極度の脱力感に襲われた。しかし今年は、事前に「世界選手権へ向けてのリレー合宿はしない」ことが伝えられ、個人種目に集中することができた。"誰かのために"ではなく、"自分のために"と気持ちが切り替わったことで、やりたいことがはっきりし、そのための練習を考えられることがすごく楽しくなったという。

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