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エース桐生祥秀が世界陸上100m代表落ち。日本短距離は戦国時代に突入 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura Hiroruki/PICSPORT

 予選は第3組のサニブラウンが追い風0.4mで10秒06、第4組のケンブリッジが向かい風0.9mで10秒08を出すハイレベルな戦いになるなか、「記録会だったら『俺も!』と思うけど、ここは勝負をする場なのでそういう気持ちには全然ならなかった」と言う桐生は、スタートから流れのある走りをしてレースをうまくまとめ、追い風0.2mの条件下で10秒15と余裕を見せていた。

 準決勝でも「出だしでつまずいてフラついたので『オッ!』と思ったし、上体もすぐ起きてしまったんですが、そこはうまく取り返して最後まで走れた。それでも10秒14で走れたので手応えは感じました」と言うように、向かい風0.2mの中、10秒10で走ったケンブリッジには後れをとったものの、2位で決勝進出を決めていた。

 ただ、そこで生じた僅かな不安といえば、本人は普通通りだったと言う後半、上半身に若干の硬さも見えたこと。さらにケンブリッジに競り負けたことの精神面での影響だった。

 そんな桐生は、決勝での敗因をこう話した。

「甘く見ていたわけではないですが、ここでしっかり3番以内に入っておけば世界選手権まで1カ月あるので。そこへ向けて練習をして......と、先のことを考え過ぎていたところもあると思います。(今回の)大会前にヨーロッパに行ってダイヤモンドリーグローマ大会などを走ったという、そういう舞台を味わえたのは僕だけなので......。足元をすくわれたという感じです」

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