【月報・青学陸上部】箱根からたった2週間でマラソン合宿敢行の意味

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

極私的! 月報・青学陸上部 第29回

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マラソン合宿で選手に指示を出す原晋監督マラソン合宿で選手に指示を出す原晋監督 千葉県・富津マラソン合宿。

 1月15日、気温4度。冷たい風が吹き、体感温度はもっと低いだろう。午前10時、下田裕太(3年)、中村祐紀(3年)、小田俊平(3年)が42.195kmを走るためにスタートラインについた。一色恭志(4年)は2日前の練習後、体調を崩して、宿舎で静養中だ。

「中村、リラックスして走れよ」

 マラソン初挑戦に緊張した様子の中村に原晋監督が声をかける。

「よし、じゃー行こうか。よーい、ドン!」

 マラソン合宿最終日、選手たちは冷え切った空気の中をスタートした。
 
*      *       *

 箱根駅伝3連覇、大学駅伝3冠を達成してまだ2週間弱。原監督は祝勝会や報告会などが続く中、その合間を縫って両親と東北の温泉に行き、親孝行に時間を割いた。チームは一色と小関一輝マネージャー以外の4年生が9日に退寮を済ませた。お祝いの余韻と新しいスタートの雰囲気が交差する中、今回のマラソン合宿が始まった。

 原監督は言う。

「今回の合宿はマラソンを走るための準備です。箱根駅伝の2区と8区は平地から最後、アップ&ダウンを乗り越えて走るので30kmぐらいを走れる体ができているんです。ただ、マラソンを走るには、残り12.195kmを埋めていく作業をしていかないといけない。合宿では、その12.195kmを補うためにしっかりと走り込みます。

 それが一番の目的で、あと箱根で走れる体ができているのにリセットして5000mや10000mに行くのはもったいない。合宿でしっかりと走り込めば、さらに積み上げていけるからね。もちろん、この合宿をやったからマラソンですぐに2時間7、8分台を出せるかといえば、そんなに甘いもんじゃない。でも、箱根駅伝後にマラソンにチャレンジする意欲がある学生のために、この流れを作っていく。青学は1番バッターとして、それに取り組んでいるんです」

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