【月報・青学陸上部】3連覇達成のウラに4年生たちの固い絆があった (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun photo by Aflo Sport


 しかし、4年生になった今シーズンは"違い"を見せた。関東インカレでのハーフマラソンを連覇し、長い距離を走れる強さを改めて証明した。夏季合宿では選抜合宿に選ばれ、その中で主力中心のAグループを先頭で引っ張って走る役割を果たすなど、存在感を示していった。

「今シーズン前半は関東インカレをメインに夏季合宿でしっかり走り込むための練習ができていましたし、夏季合宿後は箱根を走るために逆算して、この月にこのくらいの距離を走るとか、ここにピークを持っていこうとか、目標を立てて、その流れをしっかりと作れていました」

 池田の狙い通り、出雲駅伝の登録メンバー入りを果たし、次の全日本大学駅伝、そして箱根駅伝とうまくつなげられる流れができていた。

 ところが10月1日、出雲駅伝前の世田谷記録会(5000m)は、15分08秒というタイムで39位に沈み、出雲を走れなかった。つづく10月末の日体大記録会(5000m)でも田村和希ら主力組が13分40秒台を出す中、池田は14分37秒とかなり遅れをとった。

 夏季合宿で集団をリードした積極的な走りが影をひそめ、明るい表情も消えた。原晋監督からも「生成がなぁ」と落胆の声が漏れた。

 ある日、4年生の学年ミーティングが寮で行なわれた。その時、キャプテンの安藤から池田に厳しい言葉が投げられた。

「今までのままだとチームに邪魔だよ。夏に話をしていた意気込みはどこにいった。このまま終わっていいのかよ」

 普段は温厚で、隠れ面白キャラの安藤が放った厳しい言葉に、その場の空気が緊張し、池田は押し黙ったまま何も言えずにいた。安藤には、池田は決して不調ではなく、調子が上がらない状況に甘えて、ふて腐れているように見えた。「チームの足を引っ張らないようにがんばります」と逃げているような姿勢も気に入らなかった。

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