「鉄人」室伏広治のリオ五輪出場はあるのか。2年ぶりの復帰へ独自調整 (3ページ目)
となると、リオ五輪出場が現実味を帯びていると見ていいのか――。そんな楽観的な予想を戒めたのは、練習を見にきていた父の重信氏だ。「練習量はかつての100分の1。そんなに甘いものじゃないよ。70mを飛ばすのにもあと半年はかかる」と分析。室伏本人も「正直、リオを目指すとなると、状態としては厳しい」と現実を直視した。世界を戦ってきた2人だからこそ、参加標準記録の77m00を突破する困難さを熟知しているのだろう。
一方で、その記録に届かなかったとしても、五輪に出場できる道があるという。陸上競技事情に詳しいスポーツライター、折山淑美氏が解説する。
「陸連の推薦枠があるので、3位以内に入れば室伏が指名されるかもしれません。日本選手権にエントリーしているほかの選手たちも70mに届くかどうかという状態ですから、3位以内の可能性は十分にあります」
ただ、室伏の性格も熟知する折山氏は、その心中を察してこうも言う。
「少なくとも参加標準記録近くまで投げて優勝でもしなければ、彼は推薦を断るんじゃないでしょうか。ずっとトップでやってきたプライドがあるし、『五輪は記録を残した選手が出る大会』と思っているでしょうからね」
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