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日本トライアスロン初の金メダルへ。上田藍の「超ポジティブ思考」 (2ページ目)

  • 和田哲也●文・写真 text&photo by Wada Tetsuya

 成長の支えとなったのは、4年前のロンドン五輪で味わった悔しさだ。39位と不本意な成績に終わったことを引きずらず、イメージトレーニングとして2006年から目標を書き続けている「感謝ノート」に「リオで金メダルが取れました。ありがとうございました」と毎日欠かさずに書いてモチベーションを高めていった。

「メダルを取りたい」と思うだけでは勝てないことにも気づかされた。ノートには目標だけでなく、練習やレースで感じたことを1ページにびっしりと書き、どうやったら勝てるのかを具体的に考えることで戦略の幅を広げた。

 ノートに記される内容に後ろ向きな言葉はない。たとえレースの結果が悪かったときでも、上田にはそれをポジティブな要素に変える「スイッチ」がある。

「勝てなかったのには何かしらの理由があるということ。それを分析して課題を見つけると、『自分はまだ未完成なんだ』と安心するんです。それをクリアしていけば、常に成長し続けられるということですからね。

 課題をクリアするのは簡単じゃありませんが、苦しいことを乗り越えた分だけ、レースで自分をプッシュできる力になる。だから、練習で苦しくなるほど『キタキタ』ってなりますね。完全にドMの世界ですけど、自分に鞭を打つSな部分もあって(笑)。こういうことを言えるのも、自分がベテランになったからかなと思います」

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