山縣、桐生、サニブラウン...。男子4×100mリレー代表争いが大激戦 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 こう話す山縣は向かい風2.5mの条件下でも10秒27と強さを見せる走りをし、五輪参加標準10秒16突破への手応えを得た。

 桐生との直接対決となった5月8日のゴールデングランプリ川崎でも、「スタート直後に少し躓(つまず)きましたが、それを引きずらずにうまく加速できた。中盤を過ぎてから桐生選手がちょっと見え出したときには『負けられない!』と思って。だから最後は力んで苦しい顔をしていたと思います」と苦笑するが、向かい風0. 4mの中で、10秒02の自己記録を持つラモン・ギテンズ(バルバドス)を抑えて10秒21で走り、優勝したジャスティン・ガトリン(アメリカ)に次ぐ2位に食い込んだ。

「桐生選手に勝ちたいとか、あわよくばガトリン選手にも勝ちたいと思わないようにしようと思ったけど、やっぱり勝負なのでそういう雑念が入ってしまったのは反省点です。ただここで桐生選手や張培萌選手(中国)に勝つことができたのは自信になったし、標準記録も条件さえ整えば出せるという手応えもあるので、次の試合にはリラックスした状態で臨めるという意味でもよかったと思います」

 こう話す山縣は、速さだけではなく精神的な強さも身につけて復活してきた。

 一方、故障の影響でこの2年間は走りを崩していた飯塚だが、昨年から取り組み始めていた前半のコンパクトな走りが、今年はようやく形になった。3日の静岡国際200mで、追い風1mと、前半が向かい風になる不利な条件の中でも、サニブラウンを0秒16抑える自己サードベストの20秒38で快勝。

「派遣設定の20秒28を狙っていたけど、久々に気持ちよく走れたのでよかった」と振り返った。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る