リオに挑む才媛ランナー・鈴木亜由子「チャンスは絶対ものにする」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

「見えてきたものは本当につかまなければいけない。そのチャンスは絶対にものにしなければいけない」と思えるようになった。

 いざ五輪、となるとまた慎重な気持ちが見え隠れしてくる。現在、五輪参加標準記録は5000mと10000mで突破しているが、2種目とも狙うか、どちらかの種目に絞るか迷っているのだ。5000mは昨年の日本ランキング1位だが、日本陸連の派遣設定記録に1秒95足りないため、日本選手権8位以内で代表内定という特権を得られない。4月6日時点で5000mの参加標準記録15分24秒00を突破している選手は鈴木を含めて7人いて、10000mの32分15秒00を突破している選手は8人もいる。日本選手権で両種目に出てともに3位以内に入ることを狙うとしても、3日間開催のため体の負担は大きい。

「世界大会では初日に10000mの決勝があって後半に5000mがあるし、以前の日本選手でも2種目やっていた選手がいるから、そのくらい走れないと世界で通用しないのかなというのはあります。だからそれを経験しておきたいというのはあるけれど、今それができるのかなと……。それに世界選手権では5000mでもう一回挑戦したいと思いましたが、世界の選手をみると5000mより10000mの方が少し力も落ちるから可能性は高いのかなとも思って。ただ5000mは力を出し切ったレースをしたからある程度自分の力はわかりますが、10000mは経験も少なくて本当に精一杯走りきったという経験もないので、まだ自分の力がわからないところもあって。そこも悩みどころですね。」

 リオは集大成ではなく、次につなげるための通過点の大会だと話す鈴木。どちらの種目を選ぼうとも、「限界に挑んでみたい」「世界と勝負したい」という気持ちは変わらない。

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