「脚が壊れても」。五ヶ谷宏司の東京マラソンにかける思い

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

東京マラソンへの思い、さらにその先の未来についても語った五ヶ谷宏司東京マラソンへの思い、さらにその先の未来についても語った五ヶ谷宏司 リオデジャネイロ五輪マラソン代表を狙って、ベテランから若手まで多数の有力選手が出場する2月28日の東京マラソン。昨年のこの大会で2時間09分21秒を出して日本人3位になった五ヶ谷宏司(ごかや・こうじ/JR東日本ランニングチーム)も注目選手のひとりだ。

「社会人1年目から月間1300km走ることもあったけど、14年の夏も短い期間で40km走や50kmなど、周りの選手たちから異常と言われるくらいにぶっ飛んだ練習をやっていました。多分ほかの選手なら一発で壊れるような練習を出来るのが自分だし、やろうと考えてくれるチームスタッフがいるのは強みだと思います」

 こう話す五ヶ谷は、専修大時代に1年から4年まで、連続で箱根駅伝の主要区間を走り、4年では1区で区間3位になったが、10000mのベストは28分58秒84と、さほど注目されるような選手ではなかった。

 中学でサッカー部に所属していたころ、足の速さを買われ駅伝に出場。その走りを見た専大松戸高校の陸上部の監督から勧誘され、行きたかった高校だったこともあり、陸上の世界に飛び込んだ。大学進学も周囲の友人が専大へ進学するからという理由で、箱根も4年生で出場できればというくらいで、陸上への情熱はそこまで高くはなかった。

 ところが、大学の寮でエースの座間紅弥(ざま・べね)と同室になったことで少し意識が変わったという。

「座間さんは普段はチャラチャラしているのに、試合が近づくとだんだん集中していってバーンと結果を出す選手。そういう天才型の人と一緒にやったことがなかったので勉強になりました。大学に入った時は手も足も出なかったけど、箱根の山登りの練習をするころには、一緒に出来るようになっていきました」

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