2014.07.25

【陸上】桐生祥秀。底力を発揮して日本人初の銅メダル

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 7月22日にアメリカのユージーンで開幕した世界ジュニア選手権。100mに出場した桐生祥秀は3位入賞を果たし、日本人初のメダルを手にした。しかし、そう簡単にメダルを獲得できたわけではなかった。

万全とはいえない状態でも銅メダルを獲得した桐生祥秀 初日の100m予選で桐生がライバルと目するトレイボン・ブロメル(アメリカ)が第6組に登場。ブロメルは追い風0.7mの中、鋭いスタートから飛び出すと最後の20mは流して10秒13でゴールと、ダントツのトップタイムを叩き出した。

 その走りを見て桐生は「速いですね、流して10秒13ですから......」と素直に評価した。

 今季ブロメルは、5月に追い風4.2m参考記録ながら9秒77を出しているが、それ以外のレースでも、6月13日の9秒97を筆頭に、10秒0台を5回、10秒1台を5回と常に高いレベルの走りをしている。

 対して桐生はスタートがやや遅れたが、「40mくらいでいけると思ったから、2次加速まではしないでそのまま流した」という走りで、向かい風0.5mの中10秒40の1位通過。6月に足底を痛めて以来、走り出したのは7月に入ってからでギリギリ間に合った状態。久しぶりの試合でレース感を確かめるような走りになり、ブロメルとの差は大きかった。

 だが準決勝でその差が一気に縮まる。予選の後には「一緒だと力んでしまうかもしれないから、準決勝はできればブロメルとは別の組の方がいいですね。リラックスした状態で2次加速まで入る、というのをやっておきたいですから」と話していたが、予選は全体の11位通過だったため、準決勝で同走になったのだ。しかも桐生が5レーンでブロメルは6レーンと隣り合うことに。

 それでも「予選のあとでスタートの3歩目までを修正した」と土江寛裕コーチが話すように、桐生はスタートからブロメルと互角の走りをした。60m付近ではブロメルより前に出たように見えた。

「ブロメル選手にくっついていけばいけると思った。60mまではうまくいったけど、他にも2人選手がいたのでビックリしたというのはあります」と言い、そこから力んで、走りを崩し、ブロメルに0秒09差をつけられる10秒38で4位という思わぬ結果に。結局、着順での決勝進出はならなかったがタイムで拾われ、全体4番目の通過で決勝進出を果たした。