パラスキーのレジェンド、新田佳浩が選手兼コーチとして過ごした1年 そこで見えた「日本チームの未来」と「もうひとつのゴール」 (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文・写真 text&photo by Hoshino Kyoko

【見えた、来季への課題】

 数々の実績を残してきたレジェンドの、今の大きな目標は『強い日本チームづくり』だ。バイアスロンも含めた日本のノルディックスキーチームは、新田が初出場した1998年長野大会以来、パラリンピックでメダルを1つ以上、獲得し続けている。新田にはその歴史を途絶えさせたくないという思いがあり、自身や川除に続く次世代選手の育成にも心を砕いてきた。

 とはいえ、選手兼コーチ的な立場で挑んだ1年目で、たやすく結果が出るものではない。今季は川除がW杯の総合初優勝を飾るなど大きな結果を残したものの、あとに続く選手は現れなかった。

 世界の強豪たちとの戦いのなかで、新田は「絶対的な体力がないと世界では勝てない」ことを実感したと言い、この1年は体力強化のための走り込みの量や心肺機能強化のトレーニング方法など練習内容や方法も模索していたと話す。

 現時点での不足は、見方を変えれば今後の伸びしろともいえる。チーム全体の「強いフィジカルと意識改革」を来季のテーマに挙げ、新田自らが率先して取り組むことを誓った。

「たとえば、僕自身が若手だった頃に積んでいたトレーニング量やきついフィジカルトレーニングなどを、今の若い選手たちにどれだけ取り組ませることができるか。自分がまずやって、『あれ、みんな、ついてこないの?』みたいな感じで、チーム全体を引き上げることを来シーズンはやっていけたらと思っています」

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