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車いすラグビーが銅メダルを獲得。悪夢から立て直し「5年間やってきたことは間違いない」 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 初めてメダルを獲得したリオから5年。日本代表はパラリンピックでの頂点を見据え、2017年にアメリカ代表やカナダ代表を率いたアメリカ人のオアー氏が監督に就任した。日本の課題、必要な挑戦を明確に打ち出し、フィジカル、メンタル、戦術を一から見直し、新生チームづくりに取り組んだ。

 それまでハイポインターの池と池崎大輔(三菱商事)の「イケ・イケ」コンビなど、個人技に頼る展開が多かったが、守備での貢献度が高いローポインターや流れを変えるミドルポインターの育成と強化にも力を入れた。日本のラインナップの幅は広がり、しかも交代してもそれぞれが同じクオリティを発揮できることが武器になった。18年には初めて世界選手権を制するなど、進化を証明した。

 オアー監督は選手一人ひとりに寄り添い、ストロングポイントを引き出す。その手腕により、新しいことを吸収する若手選手が右肩あがりで成長するのはもちろんのこと、30代後半や40代のベテラン勢も新たな領域に到達。

 たとえば、パラリンピック5大会連続のハイポインターの46歳・島川慎一(バークレイズ証券)は、「ケビンは僕の持ち味のスピードとタックルを一段上のレベルに引き上げてくれた」と話す。重要局面で途中起用される場面が増え、強烈なタックルで流れを引き寄せ、次のライン(選手の組み合わせ)につなげる。徹底して積み上げてきた「ハードワーク」と「チームプレー」は、他国にない日本の強みとなった。

 池は言う。「リオの時の日本代表と今の僕たちが勝負したら、10点以上開くくらい今のほうが強い。5年間、僕たちがやってきたことは間違いじゃなかったと、自信を持って言える」

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