田中愛美の課題はグラグラの精神面。強気の先に東京パラが繋がっている (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

 練習マッチでは、上地が3ポイントを取れば、田中が1ポイントを取れるぐらいだという。また、上地の大会中での過ごし方を田中は参考にしている。ウォーミングアップを含めた試合への時間の使い方や試合への気持ちの持って行き方は、見習っていきたいし、いずれ上地に実力で近づきたいと考えている。

「選手として尊敬できることが多々あります。上地選手相手に、守り続けてもポイントを取るのが難しいので、守るところは守るけど、しっかり打つようにしていけば、ポイントを取れるようになっていくんじゃないかなと思っています」

 実は、田中と岩野コーチの二人三脚が始まったのは、ちょっとした偶然からだった。

 もともと田中は硬式テニスをしていたが、高校1年生の冬に、転落事故による腰椎骨折で車いす生活になった。それからリハビリを経て、車いすテニスを始めたが、時を同じくして、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催が決まり、これまで以上に"パラリンピック"というワードを耳にするようになった。

 車いすテニスを始めたばかりの田中には、パラリンピック出場は現実味のない話だったが、一緒に練習する仲間と話しているうちに、意識が徐々に変わり始めた。

「高室(冴綺、日本ランキング5位)選手と練習をしていて、東京パラリンピックを目指すという話が出てきたときに、こんな身近なところにパラリンピックがあるんだと感じました」

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