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31歳差の団結力。
ウィルチェアーラグビー日本代表が世界王者に! (2ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 障害クラスはコート上で最も重い0.5点。合宿や遠征ではスタッフから生活面のサポートも受けながら、ロンドンパラリンピック、リオパラリンピックの日本代表として活躍してきたチームの最強ラインの一員である。今大会で1試合フル出場することもあった"守備の職人"は、優勝を決めると涙で声を詰まらせた。

「(銅メダルを獲得した)リオの時も苦しかったし、最後まで走り抜くのはいつも本当に苦しい。大会中は、できるだけ疲れが抜けるように、スタッフに全力でケアしてもらって......。前日に『明日も頑張ろう』という気持ちでいられたのが今日につながったと思います」

 競技歴は21年。大学生時代にバイク事故で頸髄を損傷し、車いす生活に。リハビリのために入院した病院で勧められたのがウィルチェアーラグビーだった。デモンストレーションを見に行ったとき、競技技用車いす"ラグ車"のカッコよさに一目で惹かれた。憧れの日本代表の座をつかんだのは2009年。翌2010年の世界選手権ではチームの中でもっとも長くプレーして銅メダル獲得に貢献した。

 2016年にリオパラリンピックで悲願の銅メダルを手にして以降も、「(自分のポジションに)若手が出てくるのはうれしい。でも、日本代表の席は簡単には譲れない」と闘志を燃やし、自宅でも、スタミナ強化のための食生活改善や筋トレに取り組むようになった。

 もっとも、ローポインターは、相手を削るパワーやスピード以上に、先を読む技術や経験値が重要だ。障がいの重い選手は、相手の動きをブロックするバンパーが装着されている守備型の車いすに乗って戦うのだが、岸が心掛けているのは「バンパーに頼らないプレーで、最後にガツっと当たってひっかけること」。ナンバーワンプレーヤーの車いすの漕ぎ出しを1秒でも遅らせることができれば、日本の優位な展開に持ち込めるチャンスが生まれる。

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