東京の新種目パラバドミントンで金メダルを狙う。正垣源の頭脳と身体 (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 佐山篤●写真 photo by Sayama Atsushi

「優勝していたら、パラバドミントンはやめていたかもしれませんね」と正垣。一方で、大学では初志貫徹。チームメートとの練習に励み、大学の試合に照準を合わせるため、10年広州アジアパラ競技大会の出場は見送った。そして、大学4年になった正垣は、シングルスでついにレギュラーの座を獲得する。想いを完結させた正垣は、部を引退。大学院に進みながら、パラバドミントンを本格的にスタートさせたのだった。

 前職時代は、練習時間こそ少なかったが、だからこそ質や効率のいいトレーニング方法を考え、メンタルを鍛えるなど工夫をしてきた。それは、競技に専念できる環境になった今も生きているという。もともと試合中の状況判断やコントロールのよさは持ち味のひとつだが、現在はオンコートの練習で動きのいい大学生たちと打ち合い、またフィジカルの基礎を鍛え直すことで、粘りに磨きがかかった。「取れる球が増えた」と成果も現れ始めているが、あくまで3年計画の途中と捉え、焦らず、一歩ずつ歩みを進めていくつもりだ。

 先日、バドミントンの世界選手権の女子シングルスで優勝した奥原希望(日本ユニシス)の活躍には、大きな刺激を受けた。身長154cmと小柄ながらコートを縦横無尽に動き回って世界を制した彼女の存在について、「励みになります。僕も小さいほう(168cm)なんで」と、正垣は笑う。

 奥原同様、フットワークを生かし、先手を取られてもラリーで粘り勝つ戦術が身上だ。町田でのプレーをさらなる飛躍の足がかりとすることができるか。その活躍に注目したい。

■パラスポーツ 記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る