検索

日本代表のロコ・ソラーレが世界選手権で見せた「カーリング伝道師集団」の真髄と新たな魅力 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Soichiro Takeda

 しかし、当時はファンや関係者の間でも「真剣勝負の最中にふざけている」といった論調は存在した。それが、今ではきちんと世の中に伝えられ、ファンの興味をそそるニュースとして好意的に取り上げられるようになった。

 振り返れば、藤澤が中部電力から地元のロコ・ソラーレに移籍した際には、サッカーなどでライバルチームに移ることになぞられて「禁断の移籍」とされ、批判の声もあった。だが、ロコ・ソラーレは世界に挑むことに真摯に向き合い、そこにフォーカスしながら研鑽を続けることによって、そうした声も打ち消してきた。

 また、世界連盟がブラシパッドについてのルールを定めれば、使用するパッドを分解し、その特性を最大限把握しようと努めるなど、常に世界へ目を向けて日本カーリング界向上の一端を担ってきた。

 今季も、スイープについて氷上でストローク(往復)させない一方向へのスイープなどが禁止された。その解釈をめぐって他国の選手と氷上で意見が食い違う場面もあったが、そういったコミュニケーションによって、国内外での新ルールに対する認識を高めることにつなげた。

 それらはすべて、大好きなカーリングのため。氷上で目いっぱい楽しむために、厳しい練習も重ねてきた。それは、チームの共通認識でもあり、そこだけはブレずにロコ・ソラーレは進んできた。

 事実、吉田知はかつて「楽しく試合するために、厳しい練習を重ねる」と語っており、鈴木夕湖が五輪の最中にあっても「下手だから練習したい」と志願して、個人練習を重ねていたのは有名な話だ。

 吉田夕梨花も「試合前にはすべての準備は終わっていて、あとは楽しくカーリングするだけ」と常々話している。そして、藤澤は「決めたショットより、決められなかったショットのほうを覚えています」という負けず嫌いだ。

 だからこそ今回、残念ながらメダルに届かなくても、スピンオラマを投げても、試合前にダンスしても、批判の声はほとんど見られなかった。大袈裟に言えば、彼女らが「カーリングってそういうスポーツだし、そういうゲームだろう」という無言の伝道師なのだ。

 そんなロコ・ソラーレに今回、「カーリングオタク」と自他ともに認める小穴が加わって、チーム内に新しい風が流れた。小穴は来月、ミックスダブルス日本代表としてスイス・ジュネーブでの世界選手権に出場するが、ペアを組む青木豪(新東工業)は札幌国際大学のメンバーとして6月の日本選手権(横浜)に参加する見込みだ。そうなると、正式な発表はまだないものの、おそらく小穴も6月はロコ・ソラーレのメンバーとして横浜に帯同することが予想される。

「変化」というより、常に「進化」を遂げているロコ・ソラーレ。"カーリングの伝道師集団"は、これからまた新たな魅力を見せてくれる――そんな予感に満ちた世界選手権でもあった。

フォトギャラリーを見る

2 / 2

キーワード

このページのトップに戻る