「どれだけ年齢のことを聞いてくるんだよ」と窪木一茂 年齢を超越する競輪への意欲と集大成となるロス五輪への覚悟 (4ページ目)
【競輪選手になれたからこそ】
今なおトップフォームを維持する窪木。これまでのキャリアを見ても陰りが見えないどころか、右肩上がりであるとさえ言える。その理由をさらに掘り下げて聞くと、熟考したうえで慎重に言葉を紡いだ。
「闘志を燃やし続けることです。それに尽きます」
そう思えるようになったのは、きっかけがあったという。
「競輪選手になれたからそう思えています。職業としてのプライドを持てたからです。2000人を超える選手たちが、この世界で生きていくために、体を鍛え、技術を磨き、健康を維持しています。それを知ってから僕もそうでなければならないし、それが必然だと思いました」
順位という結果で判断されるシビアな世界に生きている競輪選手は、自らの誇りのため、そして生きる糧を得るために、常に高いモチベーションを持ってレースに挑んでいる。窪木は競輪に参戦することでその高い意識に触れるとともに、年齢についても意識が大きく変わったという。
「僕の高校の先輩である佐藤慎太郎さん(福島・78期)は今49歳で、ずっと闘志を燃やしてやっています。また同郷の新田祐大さん(福島・90期)も僕より年上で、まだまだ頑張っています。そんなおふたりに会って感じるのは、年齢という数字は関係ないということです。36歳で限界なんて言っていられません」
男子競輪選手の平均年齢はおよそ39歳で、40代はもちろん50代でもトップクラスで活躍している選手がいる。30代の選手が年齢を言い訳にできないのも当然だろう。
窪木は周囲のサポートに報いるために、「頑張らないわけにはいかない」とも語る photo by Manabu Takahashiこの記事に関連する写真を見る ロサンゼルスオリンピック時には39歳となる窪木。そこから競輪に専念するとしても決して遅くはない。彼は競輪においてもすでに高みを見ている。
「グランプリには出場したいです。だから今、競輪に参加した時にはあらゆる情報を収集しています。まずはGⅠ優勝を目指したいですね」
競輪専念後にいいスタートダッシュを切れるように、現時点でやれることを着々と進めているのだ。
競技への向上心と探求心、そして競輪選手というプロアスリートとしてのプライドも持つ窪木。年齢を超越した尽きることのない闘志が、これからも彼の背中を押し続けることだろう。
【Profile】
窪木一茂(くぼき・かずしげ)
1989年6月6日生まれ、福島県出身。高校から自転車競技を始め、長距離選手として国内外で好成績を残す。大学時代にはナショナルチームにも所属。卒業後は和歌山県職員として働きながら競技を続け、2014年の和歌山国体ロードレースで優勝。2016年のリオデジャネイロオリンピックではオムニアム14位となる。同年イタリアに渡りロードレースの選手としてヨーロッパのレースに参戦。2018年に帰国してチームブリヂストンサイクリングに所属しトラック中距離選手として活躍。その後も数々の国際大会で好成績を残し、2022年、2023年に世界選手権のスクラッチで銀メダルを獲得。2024年にはパリオリンピックに出場し、オムニアムとマディソンで6位となる。同年に世界選手権のスクラッチで金メダルを獲得し、2025年の同大会ではオムニアムで銀メダルとなる。競輪選手としてはS級2班に所属し活躍する。
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