【カーリング】ミックスダブルスの五輪初出場なるか 日本代表となった小穴・青木の武器と勝負勘 (2ページ目)
また、小穴は大会を通してリスクを恐れなかった。ハウス内の石に積極的に干渉していき、常に戦況を動かしていった。もちろん、それがピンチを生むこともあったが、ラストロックを青木が持っていることで広く攻め手が持てた印象だ。
さらに、決定戦の試合では「秘策があった」と小穴が明かす。最後の2試合、曲がりの弱くなってきた自身が投げるストーンを3つ、すべて変更したのだ。
「ドロー勝負で(相手の石よりハウスの)内側を取らなきゃいけないってなったら、やっぱりそこが(最後に)効いてくる」と小穴。ある意味ではギャンブルだったが、「曲がる石を出そう(使おう)。カーリングですからね、カールするにこしたことはない」と、小穴は笑顔で勝因を語った。
リスクの先にあるメリットを選択し、それに対して結果が見事についてきた。
2018年から五輪正式種目に採用されたミックスダブルスにおいて、日本はまだ未出場だ。決定戦を戦った2チームはそれを果たすため、ミックスダブルスに転向、専念し、この4年間を切磋琢磨してきた。
専任ペアとして過ごした時間の意義を問われた谷田は、「本当の意味で評価できるかどうかは、やっぱり小穴・青木がこれでオリンピックにたどり着けるかどうかで、そこでどういう結果を残せるのか」と、激闘を制した相手に彼なりの激励の言葉を送った。
12月に行なわれる五輪最終予選に出場する国と地域は16。イタリア行きのチケットは残り2枚だ。まずは2ブロックに分けられた8カ国で総当たり戦を実施。その後、ブロック1位同士が対戦し、勝者が1枚目の五輪切符を獲得。そして、その敗者とブロック2位同士の対戦による勝者が戦って、勝ったペアが最後の五輪切符を手にする。
倍率は、16分の2。オーストラリア、韓国、中国、ニュージーランド、ドイツ、デンマーク、フィンランドといった中堅国、新鋭国がひしめき、タフな戦いになることは明らかだ。
だが、世界基準の強度かつ、真剣勝負の戦いとなった今回の代表決定戦を経て、「こういうタイトな試合こそが最大の、世界最終予選に向けてのエールだったなというふうには感じています」と小穴。世界のタフな戦いに向けても臆することはない。
小穴・青木はこれから欧州に遠征し、スイスとスウェーデンで3大会に出場予定だ。11月に帰国してメディカルチェックなどを終えてから決戦の地、カナダ・ケロウナに向かう。
ミックスダブルス初の五輪出場。これはもう彼らだけの願いではない。最高のライバルの存在を胸に、小穴・青木が夢の舞台へ加速していく。
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