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第75代横綱・大の里はどこまで強くなるのか? 偉大な歴代横綱の歩みと比較しながらその未来像を探る (2ページ目)

  • 荒井太郎●取材・文 text by Arai Taro

【同郷、同じ大卒横綱・輪島との共通点】

 石川県出身の横綱誕生は輪島以来、52年ぶり。大卒出身でアマチュア、プロの両方で綱を張るのも輪島以来2人目だ。優勝14回を誇る第54代横綱・輪島とは驚くほど共通点が多く、新横綱・大の里が子どものころから憧れ続けてきた横綱でもある。

「一つの目標でもありますし、大卒出身の横綱は同じ石川県出身の輪島さんしかいませんし、ずっと目にして耳にしてきました。偶然ですけど、あの方もスピード出世で同じ5月場所で上がったということで、番付的には並びましたけど、まだまだあの方にはかなわないと思っています。石川県出身の先輩を超えられるように頑張りたい」

 横綱昇進伝達式での会見では、故郷の大ヒーローに抱く思いをたっぷり語っていた。子どもの頃から親に連れられて、輪島の遺品が多く保管されていた石崎福祉会に足を運んだこともあった。自身が相撲に打ち込み、相撲道にまい進すればするほど、その偉大さをますます実感することになった。

 新小結の場所で12勝をマークして初優勝を遂げ、大関昇進の起点を作ったものの、新関脇に昇進した翌名古屋(7月)場所は9勝6敗に終わり、新入幕場所からの連続2ケタ勝ち星は3場所で途切れた。大関取りのムードもややトーンダウンし、若干気落ちした様子の大器だったが、憧れの横綱輪島の大関取りまでの足跡を知ることになると、思わず表情が綻んだ。

 昭和47(1972)年夏場所、関脇で12勝3敗とした輪島は初優勝を果たした。翌名古屋場所は8勝どまりだったが、秋(9月)場所は13勝2敗の好成績で場所後、初代貴ノ花とともに大関に推挙された。その52年後の同じ夏場所で初賜盃を抱いた大の里も翌場所は1ケタの勝ち星に終わったが、同郷の大先輩と同じ道を辿っていることを知ると「めちゃ似てますね。輪島さんも意外に苦しんでいるんですね。ちょっとテンションが上がりました(笑)」とモチベーションがアップしたのか、続く秋場所は13勝2敗で2度目の優勝。場所後、大関昇進を決めたのだった。

 輪島は大関在位4場所で横綱に昇進。直前場所は15戦全勝優勝だった。奇しくも大の里も大関は4場所通過。直前場所となった先の夏場所は初日から14連勝としたが、千秋楽で横綱・豊昇龍に惜しくも敗れ、あと一歩のところで自身初の全勝Vを逃した。

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