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日本選手権競輪 吉田拓矢、眞杉匠が戦略どおりのワンツー ゴール直後に感じた歓喜よりも先によぎった過去の苦い記憶とは (3ページ目)

  • text by Sportiva

吉田(9番車・紫)、眞杉(3番車・赤)、古性(1番車・白)の順にゴール photo by Takahashi Manabu吉田(9番車・紫)、眞杉(3番車・赤)、古性(1番車・白)の順にゴール photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る  ただゴール直後、吉田の脳裏をよぎったのは、2023年のGⅠ開催「オールスター競輪」での出来事だった。そのときも眞杉とラインを組んでおり、吉田は眞杉のGⅠ初制覇を見届けたのだが、自身は暴走により失格となった。それにより2カ月間のあっせん停止。やってはいけない違反行為に肩を落としていると、「新山さん、新田祐大さん(福島・90期)が励ましてくれました」と、今でも苦い記憶として深く心に刻まれている。

 今回は、眞杉が落車に絡んでいたのか、眞杉は失格になるのか......。「自分の確定より眞杉が失格していないかが気になりました」(吉田)。数分後、場内放送により、1着吉田、2着眞杉が確定。勝利者インタビューでは真っ先に眞杉の名前を出し、「(オールスター後から)ずっと僕のことを気にかけてくれて、今日も勝負権のあるところまで連れて行ってくれたので、仲間に助けられて勝てました」と感謝の言葉を口にした。

【もっと強くなりたい】

 吉田は現在29歳で、眞杉は26歳。今回の決勝に残った20代の選手はこのふたりのみ。優勝会見でふたりの関係性について質問されると、吉田はうれしそうに答えた。

「上下関係はないです。僕も取っつきやすいですし、向こう(眞杉)もなんでも話してくれるし、いい関係だと思います」

 戦友というべきか、男同士の友情というべきか、会見場はその言葉に少しだけ温かな雰囲気に包まれた。さらに吉田は今回の結果に満足することなく、さらなるレベルアップも約束した。

「今回は(眞杉に)獲らせてもらったので、また前後で走れるように、僕がもっと強くならなきゃいけないなと思いました。自信を持って眞杉の前に回れるようにならないといけないなと思います」

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