野球の独立リーグから転向し競輪界へ 卒業記念レースで魅せた将来有望な男子選手たち (3ページ目)
圧倒的なフィジカルを誇る尾野翔一 photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る
【野球の独立リーグから転身】
その三神と並んで存在感を見せたのが、決勝まで唯一1着で勝ち進んだ尾野翔一。決勝では4着となったが、完全優勝の期待を抱かせてくれるほどの圧倒的な爆発力を見せた。
尾野は野球から転向した異色の経歴を持つ。小学3年から野球を始め、中学、高校、スポーツ系専門学校を経て、独立リーグの高知ファイティングドッグス、北九州下関フェニックスに在籍していた。そこでは主に1番・センターとして活躍。もともと肩が強く、公式戦でピッチャーをやることもあった。
「そのときのバッターが元巨人のイスラエル・モタ。パワーヒッターとの勝負だったんですが、ストレートだけで三振を取りました。球速は149キロでした」
プロ野球の第一線で活躍できるほどの強肩ぶりだ。さらに「50mは5秒7でした」と陸上短距離選手並みのスピードも持っていた。それでも野球では限界を感じていた。
「一度始めたことだから中途半端は嫌だなと思って行けるところまで行こうと思っていました。ただ野球のセンスがない、向いていないなとずっと感じていて、そんななかでバッティングで思うようにいかず、そろそろ別のスポーツをやってみようと思いました」
そこで興味を持ったのが競輪だった。現在は師匠である柳詰正宏(福岡・97期)と出会ったことがきっかけで「競輪選手なら自分の特性を生かせるのではないか」と考えるようになった。
そこから養成所に入るために気持ちを切り替え、「自分が一番乗り込んだと自信を持っていえるぐらい練習をやりました」というほど猛烈な特訓を行なった。約10カ月の練習で養成所に入所すると、持ち前の身体能力で一気に目立つ存在に。第2回、第3回の記録会ではゴールデンキャップを獲得した。
競輪をやり始めて約2年。目標にしていた在所成績1位も獲得した。今後は「GⅠ、グランプリも含めて、いろんな日本一を獲っていきたいです」と息巻く。「自分には向いている」という競輪で、今度も行けるところまで行くつもりだ。
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