日本カーリング女子でニューヒロイン誕生! 4人制とミックスダブルスの二冠を達成する快挙 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro

 優勝したSC軽井沢クラブの山口と上野はこのあと、4月下旬にスウェーデン・エステルスンドで開催される世界選手権に挑む。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの出場権獲得のためにも、好成績が期待される。

「上野選手の持ち味のひとつがスマイル。世界選手権までに一段と強化して、"上野スマイル"を世界でも出したいですね」(山口)

 一方で、ミックスダブルスの国内戦線はかつてない乱戦状態に突入した印象がある。昨年の大会で圧倒的な強さを見せて全勝優勝を決め、世界選手権でも銀メダルを獲得し、今季は史上初の世界ランキング1位に立った松村・谷田(松村千秋、谷田康真)のダブルス専任ペアが5位に終わったほどだ。

 それでも、松村・谷田は今大会で唯一、SC軽井沢クラブに勝利。地力の高さを証明した。そして谷田は、「僕らは、フレッシュさはないかもしれないけれど」と少し笑みを浮かべたのち、「スキル的な部分、戦い方で劣るとは思っていない」と言いきり、来季の巻き返しを誓った。

 また、その松村・谷田を上回る今季世界ツアー4勝を挙げてきた小穴・青木も3位。望んでいた成績までには至らなかった。しかし、小穴は「かなり準備をしてきてこの結果に終わったけれど、『どうしたら勝てるんだ!?』ではなく、『まだできるところがあるんだ』と思えた。いい課題がもらえた大会だった」と、やはり勝負の年となる来季を見据えた。

 準優勝の小野寺・前田は上位3チームでは唯一、男子と女子の投げ順をエンドごとに変更するなど、対応力や、バランスの高さを見せた。大会後、小野寺は前向きにこう語った。

「本当に細かい部分、アイスリーディングだったり、戦術だったり、スイーピングだったり、コミュニケーションだったりっていうのを詰めていかなければ日本のトップにはなれないっていうのがわかった。私たちは来年もチャンスがあるので、それまでまた頑張っていきたいと思います」

 正式な発表こそ来季になるが、4位入賞の中島・臼井(中島未琴、臼井槙吾)しかり、上位勢はそれぞれ、4人制の所属チームの理解と協力を得ながら来季もペアを継続していくだろう。

 2018年の平昌五輪から正式種目となったミックスダブルス。日本代表として初の五輪出場を決めるのはどのペアか。イタリアへのレースは加速していく。

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