日本カーリング女子でニューヒロイン誕生! 4人制とミックスダブルスの二冠を達成する快挙

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro

「とにかく山口(剛史)さんのスイープ力です。ガッツとパワーで(狙ったポイントまでストーンを)持っていく」

 長野県の軽井沢アイスパークで行なわれた第17回全農日本ミックスダブルス選手権。3位に終わった小穴・青木(小穴桃里、青木豪)の小穴は、優勝したSC軽井沢クラブ(上野美優、山口剛史)のストロングポイントをそう評した。

「細かいミスにつけこまれ、それが積み重なってこの点差(5-10)になってしまった」とは、決勝でSC軽井沢クラブに敗れた小野寺・前田(小野寺佳歩、前田拓海)の小野寺のコメントだ。

 SC軽井沢クラブの強さ――その根幹は、上野の決定力と、それを支える山口のスイープだ。

 4人制の日本選手権でロコ・ソラーレの藤澤五月、中部電力の北澤育恵、北海道銀行の田畑百葉ら、日本を代表するフィニッシャーに投げ勝ってきた今季絶好調の上野。彼女の精度の高いラストロックに、山口のスイープが加われば鬼に金棒だった。

「ちょっと遅めに投げても、ラインがタイトでも、スイープで持っていってくれる」

 そう語る上野は、山口のスイープに全幅の信頼を置き、ミスを臆さずに大胆にデリバリーができた。決勝戦での勝負を決めた7エンドの4点ショットも、「アイスの読みもだいたいわかっていたので、普段どおり投げることができた」とサラリ。強心臓っぷりも改めて示した。

 上野は、先月札幌で行なわれた4人制の日本選手権に続いて、ミックスダブルスも制し、同シーズンでの"二冠"を達成。男子では、2019年から4人制で3連覇を遂げたコンサドーレの谷田康真が2020年に、松村雄太が2021年にこの快挙を果たしているが、女子では初の偉業となる。

 今シーズンのカーリング界を代表する"ヒロイン"は、間違いなく上野だろう。

ミックスダブルス選手権を制したSC軽井沢クラブ。写真左から山口剛史、上野美優、西室雄二コーチ。photo by Takeda Soichiroミックスダブルス選手権を制したSC軽井沢クラブ。写真左から山口剛史、上野美優、西室雄二コーチ。photo by Takeda Soichiroこの記事に関連する写真を見る

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