吉田知那美が何度も救われたゴルフ漫画の名言「大事な局面での腹の括り方や覚悟の持ち方を確認できた」 (2ページ目)
私たちがプレーするカーリングでも同じことが言えます。誰がミスした、ではなく「どうしてミスが起こった」――そこだけにフォーカスできれば、小針さんがおっしゃっているようにそのミスをいい意味で忘れ、同じエラーを回避できる。
そして小針さんは、こうも言っています。
「トラブルにあった時、深刻そうな表情するなよ......暗くなる程にトラブルプレッシャーは覆いかぶさってくるぞ」(漫画『風の大地より』)
私たちもプレーしていて、これが決まれば大量得点、このショットをイメージどおりに決めれば勝てる、というような大事な局面を幾度と経験します。でも、思いどおりいくこともあれば、肩を落としてしまうようなトラブルやミスもあります。それでも顔をあげ、口角をあげ、また次のエンドにムーブオンする。それがどんなに大切なことかと理解したのは実は最近で、腹の括り方や覚悟の持ち方のようなものをこの作品を通して確認できた気がします。
『風の大地』は30年を超える長寿連載だったのですが、残念ながら2022年に作画を担当されていたかざま鋭二先生が逝去されてしまい、完結しない作品になってしまいました。
でも、この作中に綴られている言葉や描写に、私は何度も自分を重ね合わせ、何度も救われてきました。きっとこれからもそうです。
私だけではなく、多くのゴルファー、アスリートの背中を押すような名作を遺してくれたことに心から感謝しています。ありがとうございました。
吉田知那美(よしだ・ちなみ)
1991年7月26日生まれ。北海道北見市出身。幼少の頃からカーリングをはじめ、常呂中学校時代に日本選手権で3位になるなどして脚光を浴びる。2011年、北海道銀行フォルティウス(当時)入り。2014年ソチ五輪に出場し、5位入賞に貢献。その後、2014年6月にロコ ・ソラーレに加入。2016年世界選手権で準優勝という快挙を遂げると、2018年平昌五輪で銅メダル、2022年北京五輪で銀メダルを獲得した。2022年夏に結婚。趣味は料理で特技は食べっぷりと飲みっぷり
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