ガールズケイリン先駆者の石井寛子がアルテミス賞レースで涙の地元V「一番練習している人が勝つと自分に言い聞かせた」

  • text by Sportiva
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

約1年半ぶりに特別レースで優勝を手にした石井寛子約1年半ぶりに特別レースで優勝を手にした石井寛子この記事に関連する写真を見る

【「信じられない」と涙】

 ギリシャ神話で月の女神を意味するアルテミス。その名前を冠したガールズケイリンの特別レース「アルテミス賞レース」が8月16日(水)に開催され、ガールズケイリンを長年けん引してきた石井寛子 (37歳)が優勝した。ゴールラインを1着で超えると、石井は大歓声を浴びるなか、「信じられない」とむせび泣いた。

 アルテミス賞レースは、第66回オールスター競輪で同時開催される「ガールズケイリンコレクション2023西武園ステージ」での特別レースのひとつ。ファン投票の得票数上位者に出場権が与えられるが、ファン投票 1~7位が「ガールズドリームレース」に出場し、8~14位がこのアルテミス賞レースに出場できる。

 出場選手は、石井寛子、日野未来、荒川ひかり、奥井迪、石井貴子、梅川風子、小林莉子の7名。石井寛子はガールズケイリン2期生(104期)、小林は1期生(102期)、奥井と石井貴子が3期生(106期)と、歴史を作ってきた面々が顔をそろえた。その他選手も含め、実力は拮抗しており、誰が優勝してもおかしくないラインナップだった。

 レースは奥井が先頭に立って全体を引っ張り、2番手に石井寛子がつける展開。「理想的な位置でびっくりした」というほどの好位置につけた石井は、最終周回での奥井の加速に「男子選手と同等か 、それ以上の速さ」と面喰(めんくら)いながらも必死に食らいついた。そしてバックストレッチで奥井をとらえ、後ろから来た梅川と3人が並ぶ形に。その瞬間石井は、「一番練習している人が勝つと自分に言い聞かせた」。そしてジリジリと差を広げてフィニッシュ。西武園競輪場は高校時代から練習をしているいわゆる"地元バンク"で、それを知る多くのファンは、石井に温かい拍手と歓声を送った。

「お客さんの声援が大きくて、それに応えたくて、一生懸命でした。レース後の大歓声がうれしすぎて涙が出ました」

 優勝後のインタビューで石井はそう語ってほほ笑んだ。
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