ガールズケイリン史上最速で500勝を達成した児玉碧衣 驚異の勝率83.8%の秘訣は「リミッターを外せる」力

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 池田清太郎●写真 photo by Ikeda Seitaro

ガールズケイリンをけん引する存在、児玉碧衣ガールズケイリンをけん引する存在、児玉碧衣この記事に関連する写真を見る矜持と情熱
~ミラクルボディを持つガールズたちの深層~
児玉碧衣 インタビュー

【実力、人気を備えたトップレーサー】

 2018年から3年連続で最高峰の舞台、ガールズグランプリを制覇。他にも特別レースで数多くの優勝を果たしている児玉碧衣は 、現在のガールズケイリンを代表する存在だ。その児玉が今年7月、通算500勝を達成した。通算、4人目の快挙だが、デビュー以来、8年2ヶ月15日での達成はガールズケイリン史上最速である。

「500勝はあまり意識していなくて、自分のなかでは目標にも通過点にもしていませんでした。ただガールズケイリンの歴史は自分の名前で刻んでいきたいと思っているので、史上最速でそこに辿り着けたことは嬉しく思っています」

 8月16日(水)、17日(木)に、オールスター競輪と 同時開催で行なわれる「ガールズケイリンコレクション2023 西武園ステージ」へ出場するためには、ファン投票で上位者になる必要があるが、児玉は今年も1位を獲得。これは7年連続の快挙だ。日頃から「競輪では賞金をしっかり稼ぎたいと思って走っています。お金が大好きなので」など、自由かつ奔放な発言が多く、実力に加え、その明るいキャラクターでも人気を集めている。

「人気の秘密ですか?うーん、なんでしょうね......(笑)。自分でもわかりませんが、私は好かれるか、嫌われるかはっきりしていると思うので、きっと嫌いな人もたくさんいるはずですよ」

 そう言って屈託なく笑う。

【頂点をつかんでから感じた難しさ】

 ガールズケイリンを志したのは「母から勧められたから」。高校卒業後に日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入ったが、当時は自転車への思いも、大きな夢もなかったと笑って振り返る。

「小さい時から体を動かすことが大好きで、小学校から高校まで本格的にバレーボールに取り組んでいましたし、バレーボールの練習がない時は男の子といろんなスポーツをして遊んでいました。ただ何かになりたいという夢はなかったんですよね。基本的に考えるのが苦手なので、もう勉強もしたくなかったし、直感で(競輪選手になることを)決めました」

「ポテンシャルはものすごくあったと思います」と本人が真顔で話す通り、2015年にプロとしてデビューすると、その初戦で勝利し、翌月には初優勝。以後も勝利を重ね、一気にガールズケイリンで存在感を高めていった。2016年にガールズグランプリに初出場。2018年から特別レースで勝てるようになり、グランプリも制覇。そこから3年連続で勝ち続けたことは先に記した通りで、まさに順風満帆だった。

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