久米詩がガールズケイリン獲得賞金で独走状態に 苦しみながらも今年2度目の特別レース優勝 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 高橋学●撮影 Photo by Takahashi Manabu

 裏を返せば、賞金ランキング1位でも楽に勝てるレースはなく、実力が拮抗していたと言える。決勝に臨む7選手の調子を見ても、久米の存在は霞んでいた。話題の中心は2日目にガールズケイリン史上最速で通算500勝を達成した児玉。初日、2日目とも圧倒的な強さで1着に入り、弱点を見つけるのも苦労するほどの好調ぶりだった。さらに2日間とも1着で決勝に進んだ石井寛子と山原さくらも、自信がみなぎっており、充実感を漂わせていた。

 そんな状況であっても、久米はまったく諦めていなかった。

「以前なら負けても次に向けて練習して頑張ればいいかと考えていましたが、今はこんな立場ではありますが、勝ってやるという気持ちを持って挑みました」

 久米はスタート直後こそ後方に下がるも、途中で2番手に入り込むなどして、虎視眈々と上位を狙った。そして最終周回で児玉が加速したところですぐに追走し、2番手につけた。これは久米が最も望んでいた状況で、「絶好の展開で緊張のあまり脚がガクガクしていた」というほどの好位置。バックストレッチでも児玉に離されないようについていった久米は「ゴール前で勝負したいと考えていた」と、第4コーナーで一気に抜きにかかり、見事決勝線(ゴールライン)をトップで切ることができた。

決勝線に向けて疾走する久米(緑・6番車)決勝線に向けて疾走する久米(緑・6番車)この記事に関連する写真を見る

「お祭りのような歓声をいただけた」と久米は満面の笑み。決勝出場選手のなかで最も若く、全21選手のなかでも2番目に若い23歳の久米が、持ち前の勝負強さを発揮し、ガールズケイリンフェスティバルで初の栄冠に輝いた。

【ガールズグランプリも視野に】

 久米は昨年まで特別レースで優勝した経験はなかったが、今年に入って2度の頂点に立った。また賞金ランキングも昨年は15位だったが、今年は現在首位。昨年の獲得賞金13,740,400円をすでに抜き、17,752,000円と2位に500万円近い差をつけて独走状態に入った。

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