「選手を糸で操る」感覚でレースを支配 佐藤水菜がアジア選手権のケイリンで二連覇 (3ページ目)

  • text by Sportiva

――このケイリンでも日本勢が表彰台を独占しました。銀メダルが梅川選手、銅メダルが太田選手でした。どのようなレース展開だったのでしょうか。

 私が先頭に立っていて、後ろが梅川選手、中国人選手、太田選手、中国人選手、マレーシア人選手がいる状態で、誘導員が退避した後にマレーシア人選手の動きを見て梅川選手が浮上して先頭に立ちました。梅川さん、私、マレーシア人選手という順で、私の横に中国人選手がいたんですが、そのあたりは私がずっとコントロールしていて、ラスト1周くらいから自分で仕掛けてという感じでした。

梅川選手をかわしてフィニッシュした佐藤水菜(写真中央)梅川選手をかわしてフィニッシュした佐藤水菜(写真中央)この記事に関連する写真を見る

――最後のホームストレッチで梅川選手をかわしてフィニッシュしましたが、意識としては自分がレースをコントロールしていたという感覚なんですね。

 そうですね。前にいる選手は自由に走ってもらって、あとは自分が後ろの集団をコントロールしている気持ちです。集団のコントロールができるかできないかは、これまでの実績とか実力がすごく大事になってきます。自分が弱い選手だったら、それはできないですね。コントロールできやすくなったのは、大きいですね。

――その感覚はヨーロッパなどの強豪国の選手とやる時も同じですか。

 2年前に世界選手権に出場した時には、その感覚はなくて、ただレースに参加している状態だったんですが、最近は自分がコントロールできていることに気づき始めました。自分がレースの支配者になれていることは、すごく大きな変化で、自分の成長を感じていますね。

――レースの支配者という感覚は、なかなか持てない感覚ではないですか。

 1対1のスプリントでは支配するというイメージは持ちやすいんですが、5人や6人をまとめるケイリンは支配しているという感覚を持てて、楽しいですね。自分が選手たちを糸で操っているみたいな支配感があります。

――これでケイリンでは2年連続2回目のアジアタイトル獲得となりました。率直な感想を教えてください。

 本当にゴール前まで抜けると思わなかったので、すごくうれしかったです。最後の直線が見えた時に、アジアのチャンピオンジャージに袖を通したいと思って、目の色を変えて必死になりました。完全なるレースコントロールができましたし、いいレース運びができたと思っています。

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