「選手を糸で操る」感覚でレースを支配 佐藤水菜がアジア選手権のケイリンで二連覇

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アジア選手権のケイリンで二連覇を達成した佐藤水菜(中央)アジア選手権のケイリンで二連覇を達成した佐藤水菜(中央)この記事に関連する写真を見る
 6月14日~19日までマレーシアで自転車競技トラックの大陸選手権「2023アジア自転車競技選手権大会・トラック」(以下、アジア選手権)が開催された。各種目の優勝者が8月の「2023UCI世界選手権大会トラック」(以下、世界選手権)への出場権を得ることができ、さらにこの世界選手権ではパリ五輪の出場枠獲得のためのオリンピックポイントを積み上げることができるため、大きな注目を集めていた。

 日本勢は21種目に出場し、金メダル14個、銀メダル7個、銅メダル6個、合計27個のメダルを獲得するなど、他国を圧倒する成績を残した。その日本勢をけん引した一人が、佐藤水菜だ。女子ケイリンで金メダル、女子スプリントとチームスプリントで銀メダルを獲得した彼女に話を聞いた。

【メダル以上に価値ある勝利】

――まず初日に行なわれた3選手で走る女子チームスプリントで銀メダルでした。金メダルは中国でしたが、出だしとして、この結果をどのように捉えていましたか。

 出だしとしては良くも悪くもないと思います。現時点で日本チームは世界のトップを争うような国ではなくて、アジアのなかで2位というのは妥当な結果です。中国は直前の国内大会でワールドレコードに近いタイムを出していましたし、リオ五輪と東京五輪で金メダルを獲得した国です。私たちの目標は日本記録をどれだけ更新できるかというところに置いていましたが、結果的にその記録を更新できなかったことは正直残念でした。

――そして大会3日目には女子スプリントで佐藤選手は銀メダルを獲得しました。この種目は金メダルが太田りゆ選手、銅メダルが梅川風子選手と、日本人が表彰台を独占しました。この銀メダル獲得についてはどんな思いでしたか。

 実は初日のチームスプリントから体調を崩してしまっていました。正直に言いますと、過去イチ体調の悪い大会だったんです。これまでも体調を崩すことはよくあったんですが、それも大会の数日前までで、本番では体調が戻って不安がなかったんです。ただ今回は会場までのバス移動が長くてバス酔いしてしまい、さらにチームスプリントが終わった後も寝つきが悪くて、短時間しか睡眠を取れませんでした。

 さらにスプリントの準決勝で中国人選手と対戦したんですが、その時に右腕を痛めてしまったんです。力が抜けてしまうような鋭い痛みで、決勝ではハンドルを強く握ることができませんでした。

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