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錣山親方が夏場所注目の関脇3力士を徹底解剖「大関取り」を実現できるのは誰だ? さらに幕内に復帰した朝乃山の出来は? (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 一方、若元春も初日から5連勝して乗っています。もともと若元春は足腰が柔軟なため、粘り強い相撲が取れる力士です。ここからは、そのよさをもっと生かしていってほしい。

 彼も初場所、小結で9勝。春場所も小結で11勝を挙げました。今後の勝ち星次第では上を狙える可能性もあります。それに相応しい相撲を取っていってほしいと思っています。

 上記3人の関脇には、いずれもチャンスがあると思いますが、「大関」という地位は作ろうとして作れるわけではない難しさがあります。その辺りを十分に理解して、ぜひとも高い壁を乗り越えていってほしいところです。

幕内復帰を果たした朝乃山幕内復帰を果たした朝乃山この記事に関連する写真を見る 今場所は、元大関の朝乃山が幕内の土俵に戻ってきたことも話題のひとつ。コロナ禍における相撲協会のガイドラインに違反して、6場所の出場停止処分を受けて、番付は大関から三段目まで降下。そこから一歩一歩努力を重ねて、ついに幕内を果たしました。

 三段目、幕下、十両の時は「負けてはいけない」という気持ちが強くて、"受ける"相撲を取っていました。ところが、復帰した幕内の土俵では、のびのびとした相撲を展開。初日から得意の右四つの形を作って攻めています。「(幕内は最高の舞台なんだから)負けても仕方ない」という、気持ちの変化があるのかもしませんね。

 元大関ですから、実力は申し分なく、これからも勝ち星を伸ばしていくでしょう。2度目の優勝の可能性も十分にあると思います。

 冒頭にも触れましたが、今場所はたくさんのお客さまが国技館に来てくれています。この3年ほど、相撲を生で観戦できる機会が少なくて、コロナ禍前の国技館の雰囲気に戻るのを待っておられたのでしょう。

 大相撲観戦は桟敷席で飲んで食べて、土俵を間近にして楽しむ娯楽です。そうして、今場所はそんな以前と同じスタイルがようやく復活しました。

 大切なことは、こうして相撲観戦を楽しみにしてくれるお客様が、今場所を経て「やっぱり相撲っていいな」と思って、リピーターとして再び足を運んでくれること。力士、親方、裏方さん、相撲に関わるすべての人間が一生懸命努力して、これからもお客さまに楽しんでもらえるようにしていきたいです。

錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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