「うちらって、ちょっとスカしてなかった?」鈴木夕湖の言葉にハッとした吉田知那美 ロコ・ソラーレは大ピンチに雑草チームの底力を取り戻した

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

「言葉」を大事にし、大切に「言葉」を紡いできたロコ・ソラーレの吉田知那美。そんな彼女がこれまでの人生で影響を受けた「言葉」や「格言」にスポットを当てた連載の第5回は、苦しい戦いを制した北京五輪日本代表決定戦後に彼女が発した言葉だ――。

吉田知那美にちなんだ『32の言葉』
連載◆第5エンド

私たちはトップアスリートではなく、
ロコ・ソラーレであればいい
(吉田知那美/2021年9月、北京五輪日本代表決定戦を終えて)

カナダ・トロントで行なわれたグランドスラムに出場していたロコ・ソラーレ。その現地より。写真:藤澤五月撮影カナダ・トロントで行なわれたグランドスラムに出場していたロコ・ソラーレ。その現地より。写真:藤澤五月撮影この記事に関連する写真を見る ロコ・ソラーレでカーリングをしていて崖っぷちに追い込まれた試合はたくさんありますが、最も崖のギリギリまで追い込まれたのは、2021年9月に稚内で行なわれた北京五輪の日本代表決定戦でした。ベスト・オブ・ファイブという最大5戦で先に3勝を挙げたチームが代表内定というレギュレーションで、最初の2試合を落とし、あとがない状況になってしまいました。

 まずは何より、対戦相手の北海道銀行フォルティウス(現フォルティウス)さんが本当に強かった。私たちのショット率も高かったのですが、白星がなかなかつかない。2連敗後のミーティングで私たちが導き出した打開策は、「モメンタムは完全に相手が持っていて、運は私たちに味方していない」と受け止めることでした。

 受け止めて諦めるのではなく、受け止めたうえで足掻く。みんなで「運命を変える方法」などを検索しまくりました。そのなかのひとつに「美味しいものを食べる」という結果があったので、「この瞬間から我慢せずに好きなものを好きなだけ食べよう!」っていう話になって、その時、(鈴木)夕湖ダイエットトレーナーの厳しい指導のもと、ダイエットしていた聖也さん(高田トレーナー)がすごくうれしそうにおはぎを頬張っている姿はとても可愛らしかったです。

 そんな感じでミーティングをしているなかで、夕湖さんが「うちらって、ちょっとスカしてなかった?」と言ってくれたのがきっかけで、「そうだね。なんかカッコつけてた」「トップアスリートになりたがってたよね」という声も挙がって。確かにそういう部分はありました。

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