ロコ・ソラーレ吉田知那美の新連載「旦那さんのどんなところが好き?」と聞かれた彼女の答えは?

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

カーリング女子日本代表として、2018年平昌五輪で銅メダル、2022年北京五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレ。日本カーリング史の記録を塗り替える快挙を刻み続けている同チームのサードで、ムードメーカー的な存在でもある吉田知那美。彼女がこれまでの人生で影響、感銘を受けた「言葉」や「格言」、さらには彼女自身が戦いの舞台や会見などで発してきた印象に残る「言葉」や「名言」にスポットを当てる連載がスタート。第1回は、夫である河野恭介さんとの間でも大事にしている言葉だ――。

吉田知那美にちなんだ『32の言葉』
連載◆第1エンド

「伝えた」と「伝わった」は違うよね
(河野恭介/アルペンスキーコーチ)

 いきなり私ごとで恐縮なのですが、昨年、結婚しました。

 連載第1回から夫の言葉を紹介するのはノロケになっちゃうかな、と編集部の担当者の方に相談したら、「人生で最もノロケていい時期なので、存分にノロケてください」という温かい言葉をいただきました。今のうちに、ありがたくノロケておこうと思います。

吉田知那美(左)と夫の河野恭介さん。写真:本人提供吉田知那美(左)と夫の河野恭介さん。写真:本人提供この記事に関連する写真を見る 結婚後、(周囲から)一番多く聞かれた質問は「旦那さんのどんなところが好き?」でした。その答えのひとつが「他人に対して言葉を尽くす人だから」です。

 私たちは結婚前から、彼の地元の長野県・野沢温泉村、遠征先のオーストリア各所、私の地元の北海道・北見市や、チームのカナダでのホームタウンとなるカルガリーなどなど、それぞれ多拠点で生活しながら、うまくタイミングを合わせて、一緒に過ごせる時間を見つけてきました。これまでの競技生活や仕事のうえでそれは仕方がないことではありますが、どこかに出かけることが好きなふたりなので、今のところは、性格的にも生活的にもお互いにとって一番適した形なのかなと思っています。

 でも、世の中のご夫婦のみなさまもそうなのかもしれませんが、時にはどうしてもすれ違いが起きたり、意思の疎通がうまくいかなかったりすることはあります。

 そういう時に(河野)恭介は、自分の意見や感情よりも先に、他人への気遣いが第一にあって、自分の言葉を誰かのために選ぶことができるんです。(こちらが)ネガティブな気持ちになりそうな時でも、「ちなに悲しい思いをさせてごめんね」とまず伝えられるのは、意見を相手に言うことよりも、伝えたい相手のことを大切に思っているから。

 相手の気持ちに寄り添うのが上手、というより、きっと小さい頃からそうやって過ごしてきたのだと思います。

 彼のご家族の食卓はすごくにぎやかで、みんなよく話し、よく笑います。お義母さんは話し上手で、お義父さんとお義兄さんは聞き上手なんです。だから、ご家族と初めてお会いした時に、恭介の"言葉を投げるのではなく尽くせる"能力というか人柄は、ここで育まれたんだとすぐに納得しました。

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