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東京五輪の「経費のコスト超過率」は平均のはるか上も、詳細は闇の中。「レガシー」の継承は果たされずに終わった (2ページ目)

  • 小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa
  • photo by Kyodo News

「コスト超過率」はオリンピック史上最高額

 翻って2021年の東京五輪はどうだろうか。開催都市招致時の7340億円の予算には、そもそも抜け落ちている経費項目が数多くあることは当初からわかっていた(市民にはほとんど知らされてはいなかったが)。最終的な公式報告書に記載された予算1兆4238億円についても、すべての経費を網羅しておらず「過小見積もりではないか」と国内外の機関から指摘されている。

 イギリス・オックスフォード大学は、1960年以降のオリンピックの経費について継続的に調査研究を行なっている。研究者であるベント・フライバーグ教授はAP通信の取材に対し、「2020年の時点で東京五輪の経費はコスト超過率が200%を超え、オリンピック史上最高額となっている」と答えた。コスト超過率とは、開催都市招致時の予算に対する実際の予算の超過割合である(例:予算100億円で実際にかかった金額が200億円だった場合、コスト超過率は100%)。つまり招致時の東京の予算は7340億円であるため、実際には2兆2000億円以上に膨れ上がっているということである。

 オックスフォード大学の研究では、1960年以降のオリンピックのコスト超過率の平均は172%と算出している。着目している経費は、過去の大会との相関を見るため、大会自体の運営費用と、競技場、選手村など大会に必要な施設の建設費のみ。鉄道や道路のインフラ整備費など、いわゆる関連経費は除かれている。

 信頼度の低いデータは使用しておらず、研究者が自らも認めるように「控えめ」な数字となっている。それでも東京五輪の経費は、開催延期、パンデミック対策によるコスト増を加える前の段階で、過去最高額であったロンドン五輪の149億5000万ドル(約1兆6000億円・オックスフォード大学調査)を上回った、という結果が出ている。

 国内においても、会計検査院は参議院決算委員会の要請に基づき、東京五輪の予算についての検査をこれまで2度行なった。2度目の2019年の検査では、国の各府省庁が2013〜2018年度に支出した関連経費は、「340事業で1兆600億円だった」と報告した。また、報告書のなかで組織委員会が公表している大会経費には、国や東京都以外の他県が所有する競技施設の改修設備、セキュリティ対策費や輸送経費が含まれていないことも指摘。国が担う業務、経費について「全体像が把握できていない」としている。

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