「天才ほどいきなりいなくなる」寺本明日香が語る体操女子の難しさと、指導者としての夢「挫折した選手を手助けしたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 近藤みどり●撮影 photo by Kondoh Midori

寺本明日香インタビュー後編 
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日本の体操女子を約10年にわたりけん引し、今年4月に現役生活を終えた寺本明日香さん。2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと2度の五輪に出場し、リオでは団体4位、個人8位の活躍を見せた。引退から少しの時を経て、寺本さんは今、競技人生をどう振り返るのか。インタビュー後編では、印象深い大会や体操競技への思い、今後の展望を聞いた。

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五輪出場から「たくさん学んだ」

ーー2011年に初めて日本代表入りし、その後は村上茉愛さん(2021年10月に引退)とともにチームを引っ張ってきました。2016年リオデジャネイロ五輪団体では、メダルまであと一歩の4位と、1964年の東京オリンピック以来の順位に大きく貢献。競技人生を振り返るとやり尽くした感覚ですか? それともやりきれなかった?

寺本明日香(以下、寺本) 結果的に五輪のメダル獲得という目標は叶わなかったけど、五輪を目指しても行けない選手もたくさんいるので、そんなに簡単にいくものではないと思ったし、それはそれでひとつの経験だし、たくさん学んだこともあります。

 最終的に(村上)茉愛が昨年の東京五輪の種目別でメダルを獲れたし、その五輪に日本が出るために私も世界選手権を頑張ったわけだから、私的にはちょっと満足というか、貢献できたなと思っています。

ーー結果を出し続けている体操男子に比べると結果を出すことができていなかった女子を、リオ五輪の団体4位まで引き上げたのは、すごいことだと思います。

寺本
 私がたまたま主将だった時に、そういう(強い)メンバーが集まった結果なので。でも、その時だけ私たちが頑張ったのではなく、ジュニア時代の強化本部長や監督という周囲の方々が強化に取り組んでくれたおかげです。あの頃の合宿は超キツかったけど、その指導を受けてきたのがリオ五輪に出た世代だったんです。

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