競輪界の未来を担うルーキー小泉夢菜、一丸尚伍、又多風緑。勝つべくして勝つ3人のポテンシャルと知られざる過去とは (4ページ目)

  • text by Sportiva
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

日本競輪選手養成所 、卒業記念レースで準優勝した又多風緑日本競輪選手養成所 、卒業記念レースで準優勝した又多風緑在所成績ダントツ1位
又多風緑

 日本競輪選手養成所で実施された45レースのうち1着が37回と、圧倒的な強さを見せて今年3月に卒業した、又多風緑(まただ・ふつか /石川)。入所時に掲げた在所成績1位の目標を、見事成し遂げてみせた。

 小学4年から陸上短距離選手として活躍し、中学1年時にはジュニアオリンピックにも出場するなど、高い運動能力に加え、身体能力にも恵まれていた又多。将来を考え始めた中学3年生の時に、父親から掛けられた何気ないひと言で人生が大きく変わる。

「その太ももを生かして競輪をやってみれば? スタバ、毎日飲めるくらい稼げるよ」

 地元のスターバックスが大好きで、頻繁に足を運んでいたこともあり、父親からのその言葉は心に響いた。競輪選手になる動機は本当に些細なことではあったが、そこから彼女は自転車競技にのめり込む。

 高校はスポーツコースに進んだこともあって陸上部に所属することになったが、競輪選手になりたいという夢をかなえるために、自転車部の創部を学校側に持ち掛けて実現。たったひとりでの活動となったが、陸上と競輪の二刀流の日々が始まった。

「朝4時30分に起きて、30分かけて自転車競技場に行き、1時間練習しました。それから学校に行って、午後は陸上部で走っていました」

 多忙を極めた毎日で、「本当に大変だった」と本人は振り返るが、「一度決めたら、それを成し遂げるまでやり切る」というまっすぐな性格が、その生活から逃げることを許さなかった。

 その努力の日々のおかげで、高校2年のインターハイで500mタイムトライアル11位、高校3年の高校総体代替大会で優勝を飾ることができた。

 高校卒業後に入った競輪選手養成所でもその努力の姿勢は揺るがず、他を寄せ付けない成績を残した。そして今年、彼女はいよいよ念願だった競輪界に足を踏み入れている。

「最終的には先行()でガールズグランプリを獲りたいです」と語る又多。これまで積み重ねてきた努力と、持ち前の強い意志力があれば、その目標は十分に可能だろう。新たなステージに挑み始めた彼女の走りに注目していきたい。
※3~4人程度で作る小集団「ライン」の先頭を走る選手

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