オリンピックを愛した男、ショーン・ホワイトの軌跡。バトンは平野歩夢に託された (4ページ目)

  • 徳原海●文 text by Tokuhara Kai
  • photo by JMPA

【バトンはアユムへ】

 北京でのラストラン後、ショーンは平野歩夢の金メダルについてこう喜びを口にした。

「アユムは想像以上にすごかった。彼を誇りに思う」

 キャリアを通して勝利を追い求め続けたレジェンドだけに、当然メダルを獲れなかった悔しさはあるはず。それでも平野を称えるその言葉に偽りはない。実は平昌直後にも、ショーンはかつての自分に重ねながら彼の将来についてこう話してくれていたのだ。

「僕がずっと『ショーン・ホワイトであり続ける』ことを目指したのと同じように、彼ならきっと何があっても自分のスタイルを貫いていくと思う」

 バトンは託された。男子スノーボード・ハーフパイプはこれから平野歩夢を中心に回っていく。シーンそのものがどう進化していくのか、そして「やりたいことがいろいろある」と言うショーンはこれからどんな形でスノーボードと関わっていくのか。楽しみでならない。

"Thank you, snowboarding."

 大会後にショーンはインスタグラムにそんなシンプルなメッセージを投稿したが、むしろこちらが心を込めて彼にこう伝えたい。

「ありがとう、ショーン。あなたがいたからスノーボードが大好きになった」と。

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