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不可解なフライングにも負けず。森重航の銅メダル獲得は、スピードスケート男子復活への第一歩 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 最終組はW杯総合1位のローラン・デュブルイユ(カナダ)と、新濱の組み合わせ。標高0mのオランダ・ヘレンベーンで34秒07の低地世界最高記録を出している新濱は、「正直、34秒2台を出されたら今の自分のベストの滑りをしてもわからないだろうなと思っていたましたが、34秒3台は想定内。今のベストの滑りをすればトップに立てると思っていた」と言うように、このふたりは前の記録を上回ってくると思えた。

 しかし、1回目は不可解なフライング判定になった。前組の森重のフライングもそうだったが、スーパースロー映像で見ても両者とも動いてはいないように見えた。

 2回目のフライングは即失格となるため、プレッシャーは高まる。それでも新濱は「正直フライングまではすべてが想定内でした。先週のタイムトライアルもフライングが1回あったなかでスタートできたので、そこには不安要素はありませんでした。2回目もしっかり自分のスタートを決めれば大丈夫だと思っていました」と自信を持っていた。

 だが、スタートして2歩目でスケートを氷に引っ掛けてしまった。

「今日の朝の練習から左足が躓(つまず)いている場面はあったのですが、正直それはいい傾向だと思っていました。引っかかる要因にはなるとしても、それは氷スレスレにブレードの先端がとおっている証拠なので、それはマイナスではなく、自分にとってはプラスに働く。でも今回はそれが左足ではなく右足に出てしまって予想以上に深く刺してしまい、それが2回続いて修正できませんでした。最初の100mのミスがすべてでした」

 結局そこでスピードに乗れずに100mは10秒11の通過。後半は粘ったが35秒12のゴールで20位という予想外の結果になった。またデュブルイユも100m通過は9秒63でタイムを伸ばせず34秒52でゴール。森重の3位が確定した。

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