日本男子モーグル界初の金メダル獲得なるか。上村愛子が驚いた堀島行真の斬新な取り組みとポテンシャルの高さ (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by Gary Yee/Getty Images,MATSUO.K/AFLO SPORT

 今回もさまざまな戦略を立ててくるような気がしますが、日本チームもいろんな経験をしているので、ヤンネ(・ラハテラ)コーチらがそれにうまく対応してくれると思いますし、堀島選手本人も同じような状況を何度も経験して乗り越えてきています。平昌五輪と同じ状況にはならないでしょう。女子と同様、複数の日本人選手が表彰台に上がる可能性も十分にありますよ」

――予選はトップ10に入れば1本で通過できますが、決勝ではスーパーファイナルまで3本滑らないといけません。すべて気が抜けませんね。

「モーグルは一本一本点数が仕切り直しとなる競技なので、予選も含めすべてのランに気が抜けません。実はモーグルでは練習の段階から"戦い"が始まっているんです。ジャッジの人は練習の時から選手の滑りを見て、コースの特徴やミスするポイントをチェックしています。

 ですから、練習から安定した滑りを見せなければならないので、長い時間試合のスイッチを入れておかなければなりません。ただ、いつもどおりのパフォーマンスを見せ続けることができれば、その試合で急に点数が大きく下がることもありません」

――派手なエアを見せて、速く滑れば勝てる、という競技ではなくなってきているという話も聞いています。

「2006年トリノ五輪の頃まではその日一番の、ド派手なパフォーマンスを見せた選手がメダルを獲っていく、といった印象の残っている競技ですが、今はターン、エアといった採点の部分ではジャッジが細かくチェックして減点していくので、いかに安定したパフォーマンスを発揮できるかがメダルへの道になっています。

 フィギュアスケートの選手がよく『取りこぼしをしないように』といったことを演技の前に話していますが、モーグルもそれに近い採点競技になってきていて、ノーミスじゃないとなかなか勝てない、厳しい状況にあります。

 そのなかで、堀島選手は『スキーっていうのは、これだ!』というロマンを持って、大胆で美しい滑りを見せてくれます。だから、私は堀島選手イチ押しです」

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