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高梨沙羅が五輪プレシーズンに復活。好調を取り戻した3つの要因とは (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by APF/AFLO

 2019−20シーズンも、W杯序盤の3戦が終わって総合6位。この頃から助走の改良にも取り組み始めたが、なかなかしっくりくる助走姿勢を組めないでいた。年末には「地元(北海道・上川町)に帰って練習をし、スタートの切りだし方がうまくハマるようになってきた」と、第4戦札幌大会では違和感が解消され始めて調子は上がってきていたが、それでも結果はついてこなかった。

 高梨自身、その原因を分析できていた。「踏み切りの動きにまだ迷いがあり、思い切って飛び出せていない」。つまり、空中でスキーをうまくコントロールできず飛距離を伸ばし切れていなかったのだ。シーズン終盤に1勝はしたが、表彰台は16戦中3回と、前季より成績は下降した。

 そうした苦境を乗り越えて迎えた今シーズン、高梨は世界選手権のノーマルヒルで銅メダル、ラージヒルで銀メダルを獲得した。今後、目標である金メダル獲得に向けては、今季好調の3つの要因に加えて、「空中の技術をもっと磨く必要がある」ことが明確になったと言えるだろう。

 ラージヒルの銀メダルを獲得してうれしそうな表情を見せていた高梨は、試合後にこう説明した。

「目指していたのは金メダルですが、自分のやるべきことに集中したいと思っていました。空中の部分はまだ反省点が多いので悔しいけれど、やらなければいけないと思っていたポイントはおさえられました。自分のジャンプが形になりつつある中で、今できる限りのことができたと思うので、すがすがしい気持ちになれたのだと思います」

 その口調は、以前の自信がなくなりかけていた頃のような迷いはなく、力強さが増していた。

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