「SASUKE」の完全制覇者は収録日に本番まで何をやっているのか (4ページ目)

  • 本田雄士●撮影 photo by Honda Takeshi 協力/TBS


 いざ本番で観客席を見て、「誰々が心配そうな顔をしている」「誰々が大声で応援している」など、普段の自分のイメージと少しでもギャップが生まれそうな要素、不確定要素は極力排除してしまう。ですから、当日お客さんから名前を呼ばれても絶対に見ません(笑)。客席の反対側、スタート位置から見て右手にオーロラビジョンがあって、ずっとそこを見るようにしています。

 だいたいいつも、1stステージの全景から入って最後にスタートの10秒前くらいから僕(競技者)の顔が映り始めるので、顔がアップになったらカメラを見て礼をする。これはもう、練習のときからまったく同じようにやっているルーティンです。

スタート地点から見て左手には大きな観客席が。森本は極力、こちら側を見ないようにしているスタート地点から見て左手には大きな観客席が。森本は極力、こちら側を見ないようにしている
 もちろんこれは僕の例ですので、ほかの選手はその限りではないと思います。
 
 中には観客席を見たほうが、元気が出て良い、という方もいらっしゃると思います。最も重要なのは自分に最適な方法を知っておき、「いかに普段から本番の過ごし方を決めておくか」ということです。

 アップが終わったら、スタート地点の横の、選手が待機できる椅子に座ってじっと出番を待ちます。冬場の大会ではストーブが置かれているので、その前で筋肉が冷えないようにして、あとはひたすら「平常心」でいることをイメージします。

 僕の場合は、イメージトレーニングをするのはアップの段階でおしまい。出番直前はとにかく頭を空っぽにして、心をフラットな状態に保つようにしています。高揚感もない。不安もない。気持ちを盛り上げることも一切しない。その状態まで持っていければ、本番でも限りなく普段のパフォーマンスが発揮できるようになります。

(第6回につづく)

■今週の格言:SASUKEは本番当日の過ごし方が命運を分ける


<プロフィール>森本裕介 Morimoto Yusuke
1991年12月21日生まれ、高知県出身。IDEC株式会社にソフトウェア・エンジニアとして勤務。7歳でSASUKEに目覚め、15歳のときに第18回大会(2007年)で初出場。2015年に史上4人目の完全制覇を達成。第35回、36回大会で出場者100人中唯一FINALステージに進出した、現役最強のSASUKEプレーヤー

サスケ君のSASUKE勝利学 第1回はこちら>>

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