2019.09.01

楽しさもつらさも知る臥牙丸が語った
「お相撲さんでいるということ」

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 2012年初場所(1月場所)も体が動いていたね。後半戦、9日目から7連勝して12勝3敗。「同級生」の栃ノ心にも勝ったし、2度目の敢闘賞を取ることができた。大勝ちしたことで、翌春場所(3月場所)には新三役(小結)に昇進することもできた。

 この頃、僕はずっと体重199kgで通していた。実際は200kg以上あったんだけど、お相撲さんって、自分の本当の体重を公表するのって、すごく恥ずかしいんだよね。だから、東京場所(5月場所)前の体重計測は受けないで、自己申告で「199㎏」って言っていたの。

 だけど、周囲の力士やメディアの人から、「ガガちゃん、絶対200㎏以上あるよね?」と言われて、2012年の秋場所前にしぶしぶ体重計に乗ったら、212㎏。「やっぱり、199㎏じゃないじゃないか!」とか言われて、困ったこともあった(笑)。

 それからもなるべく体重が増えないように気をつけていたんだけど、常に200㎏以上はあったなぁ。

 お相撲さんにとっては、体重は武器だからね。自分が土俵で動けるのであれば、体重の増減は、僕はさほど気にしない。

 最近では、逸ノ城が200㎏を超えた時、「太り過ぎだ」と指摘されたよね。本人も相当気にして、炭水化物ダイエットとかに取り組んでいたみたいだけど、お相撲さんは米を食べないと力が出ないのよ。逸ノ城も悩んだ結果、極端なダイエットはやめて、今は224㎏。ベスト体重は本人が決めるものだから、外野がいろいろ言うのはどうかと僕は思っているよ。

 だけど、太ることでの弊害はある。

 数年前のことだけれど、僕は全身がだるくて、力が入らないという症状に襲われた。200㎏あった体重が、アッという間に180㎏まで落ちた。さらには筋肉まで落ちてしまって、体はタルタル。

「あ、これは糖尿病だな」

 僕はすぐにピンときたね。糖尿病で苦しんでいるお相撲さんは多いし、体を見ていると「この人、糖尿病だな」とわかる。裸の商売だから、そういうところは敏感なんだよ。

 すぐにでも病院に行かなくちゃならなかったんだけど、巡業もあったし、病院に行って「糖尿病」と診断されるのがイヤで、しばらくは病院に行かなかったよ。結構、臆病者だよね(笑)。