2019.03.05

10代クライマーが次々と台頭。
でも、女王・野口啓代の背中はまだ遠い

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

「久しぶりの優勝で、すごくうれしいです」

 3月2日、3日の『第32回リード・ジャパンカップ』(以下LJC)に優勝した野口啓代(のぐち・あきよ)は、喜びをそう表した。彼女にとって「リード日本一」は2年ぶりのことだが、久しぶりに感じた理由は別にある。

左から、2位の森秋彩、優勝した野口啓代、3位の平野夏海 昨季の野口は、国際大会で5度も表彰台の真ん中に立った。これはヤーニャ・ガンブレット(スロベニア)の8度に次ぐ回数で、昨季のW杯ボルダリング年間女王になった野中生萌(のなか・みほう)の1度をはるかにしのぐ。

 それが今年は、1月の『ボルダリング・ジャパンカップ』(以下BJC)と2月の『スピード・ジャパンカップ』を野中が制した。例年はスロースターターで国内大会の成績が奮わない野中の二冠が、野口にとっては昨年11月の最終戦・アジア選手権以来の定位置回帰にもかかわらず、「久しぶり」な気持ちにさせたのだ。

 初日の予選を3位通過した野口が、「明日は難しいルート(課題)になればいいなと思います。難しいものに挑戦するほうが登っていて楽しいですから」と望んだとおり、ルートの難易度は準決勝、決勝とラウンドが進むごとに増していった。

 難度の高さに「完登者ゼロ」という結果に終わった決勝は、準決勝8位通過の野中がひとつ順位を上げて7位でフィニッシュ。野口は獲得高度で前年リード日本一の森秋彩(もり・あい)と並んだものの、予選ラウンドの成績で上回っていたことで優勝を手にした。

「決勝のルートはすごく難しくて、中間部でムーブに迷いが生じましたけど、終了点近くまでいけてよかったです。オブザベーション(課題の下見)はしっかりできていたので、国際大会シーズンでは万全な状態で臨めるように、リードの調子も上げていきたいですね」

 4月から始まる国際大会シーズンに向けた調整段階ながらも優勝し、充実した表情で大会を振り返った野口に、「最後までいい勝負ができてよかった」と言わしめたのが、この春から高校生になる15歳の森だ。