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ボルダリング日本一の野中生萌は、
世界でも東京五輪でも頂点へ登りつめる! (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 右肩は「まだ課題によっては痛みが出る」状態ながらも、予選5課題を4完登5ゾーンのグループ1位で通過すると、大会2日目の準決勝4課題を2完登4ゾーンでは4位通過。決勝戦では野中が得意とするランジ(ジャンプ)能力が求められる第2課題を完登して流れに乗ると、最終課題も3トライ目で完登して3完登4ゾーン。

「(優勝は)やっと、という感じ。悔しい思いをしてきたので、すごくうれしい。今回はすべての課題に対応できたのが勝てた理由だと思います」

 12度目の日本一を狙った野口啓代は、完登数では野中と並びながらも1ゾーン及ばず2位。3位には伊藤ふたばが入り、五輪強化選手が順調な仕上がりをアピールした。また、16歳の平野夏海、18歳の倉菜々子、中村真緒が初めて決勝に進出し、次世代も着実に成長していることを印象づけた。

 一方、昨年の世界選手権ボルダリングの金メダリストで、五輪強化選手の原田海の予選落ちで始まった男子は、22歳の石松大晟(たいせい)が初優勝。2017年のW杯ボルダリング・ミュンヘン大会で3位にもなった実力者は、今年4月からの国際大会の出場権を手にするために万全の調整で臨み、最高の結果を手にして表彰式で喜びを爆発させた。

 2位には五輪強化選手の楢﨑智亜、3位には昨年のユース五輪の金メダリストの土肥圭太。4連覇を狙った五輪強化選手の藤井快(こころ)は決勝戦で最下位の6位に終わったものの、年末年始は長い今シーズンの先を見据えてリード種目を強化してきたこともあって、「中途半端な順位よりスッキリしました」と先を向いている。

 その選手たちが次に向かうのが、初開催される「スピード・ジャパンカップ』(2月10日@東京・昭島)。この大会と今回のBJC、そして3月の「リード・ジャパンカップ」(3月2日、3日@千葉・印西)の3種目の複合成績を踏まえて、5月の「コンバインド・ジャパンカップ」(5月25日、26日@愛媛・西条)では優勝者に世界選手権コンバインドの出場権が与えられる。

 オリンピックへの出場権争いが始まる今夏の「世界選手権」、そして来夏の「東京五輪」に向けて、ここからスポーツクライミングの戦いは熱さを増していく。

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