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「笑顔で登る女」野中生萌のクライミングは、
みんなをハッピーにする (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 その理由を、野中は次のように明かす。

「年々サポートしてくれる方が増えているのが、私にとって大きいですね。私の見えないところでの支援もあって、すごく多くの方に支えられていて。それがメンタル的な向上にもなったと思います」

 野中は現在、指導に関して、クライミングのトレーニングは伊東秀和氏から、フィジカル面の強化は小田佳宏氏から受けている。

「それまでは試合の動画をひとりで見返して、何が悪かったのかを探っていて。でも、今はコーチも試合を見返してくれて、気づいた問題点を伝えてくれる。

 それが私の思っていたことと一致すると、自信を持って改善できるし、そうじゃないときは自分の感覚を伝えて、話し合いながら確実に修正できる方向にもっていっています。その繰り返しが、こういう形になっているのかな」

 大会でのパフォーマンスを分析した野中が抱く、「できなかったムーブをできるようにしたい」「こういう登り方をしたい」という思いを具現化するためのトレーニングを組むのが、小田氏の役割になる。担当して4年目になる野中の成長を小田氏は次のように感じている。

「生萌から『こういう動きができるようになりたい』と言ってくることもあれば、こちらから提案することもありますが、生萌の場合は言われたことを単にやるのではなく、自分が納得してから取り組む。だから、トレーニングを始めると、どんどん吸収していきます。

 ただ、彼女の年間スケジュールを考えると、オフらしいオフは1年のうちに1~2週間ほど。大会があって、そこに向けてのトレーニング。その繰り返しで、大幅になにかを変えるだけの時間はないんですね。

 だから、微調整の積み重ねをしながら、1年、2年と時間が経ったときに大きく変わっていることを目指してやってきました。今シーズンになって仕上がってきていますが、ここは彼女にとっての頂点ではないです。生萌には伸びしろがまだまだありますから」

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