2018.06.06

クライミング界のスーパースターが語る、
日本男子の抜きん出た才能

  • 津金壱郎●取材・文・撮影 text & photo by Tsugane Ichiro
  • 興梠友理●協力 Cooperate by Korogi Yuri

 先日行なわれたボルダリング・ワールドカップ(W杯)八王子大会の男子はイタリアの30歳、ガブリエル・モロニが優勝。IFSC(国際スポーツクライミング連盟)の前身であるUIAA(国際山岳連盟)時代の2005年にW杯デビューしてから足掛け12年、60戦目での初栄冠に最終課題ではTOPホールドで男泣きに暮れた。

2016年の世界選手権でコンバインド世界王者に輝いたショーン・マッコール ボルダリングW杯の課題傾向は昨夏のミュンヘン大会以降、変わりつつある。2016年シーズンから俊敏さが必要なランジ(ジャンプ)やコーディネーション(※)の課題が増える流れが続き、こうした動きを得意にする日本人クライマーが上位に躍進した。

※コーディネーション=手足をタイミングよく動かして次のホールドを掴む動き。

 しかし今シーズンは、ひじと脇を締めて腕を固めて次のホールドを取る「ロック力」や、手の平を返しながら体勢を入れ替える「マントル力」など、クライミング元来の岩場で求められるパワーや能力を問われる課題が増えている。

 課題内容が原点回帰していることで、この2シーズンはボルダリングW杯での存在感が希薄だった外国人クライマーがふたたび輝きを放っている。今シーズンのボルダリングW杯第3戦の中国・重慶大会で2位となったカナダのショーン・マッコール(30歳)も、そのひとりだ。

 2016年世界選手権のリード、ボルダリング、スピードの3種目で競うコンバインド世界王者であり、IFSCの選手会会長を務めるクライミング界のスーパースターは、この大会では右肩のケガの影響もあって予選敗退に終わった。

「課題はとても難しかったけれど、すごくおもしろかったよ。重慶で2位になったあとは東京でトレーニングをしていたんだけど、2週間前に右肩をケガして……。本来の3割くらいの力しか出せなかったから、メンタル的にはつらい結果だよ」

 マッコールは予選5課題で0完登2ゾーンの73位。本来の彼が得意とする右肩でロックしながら乗り込む課題がいくつかあっただけに、万全のコンディションなら準決勝へ進めていただろう。そんな不本意な結果に終わっても取材を快活に受けるあたりは、さすが選手会会長といったところだ。