自称・オーバー稽古症候群。38歳・豪風が決断した十両からの再出発 (5ページ目)
そうして、決断を下した豪風はある行動に出る。
「10年以上続けた幕内の座から落ちるということは、何かしらの責任を取らなければいけないと思っていたんです。それなのに、自分は"引退"という決断もできなかった。
ただそんな自分でも、故郷の秋田にはずっと応援してくださっている人たちがいて、自分の動向を心配してくれている。だから、2月中旬に秋田に出向いて、自分の口から『現役続行』を宣言してきました」
秋田の人たちは、豪風の"宣言"を快く受け入れて、温かい声援を送ってくれたという。
「みなさんに『豪風なら、まだできるよ』と言っていただいて......。こうした評価は、1、2年で築けるものではない。そういう意味でも(秋田の人々の後押しは)、自信と誇りになりました」
この春場所から豪風は、締め込みを中央大カラーの濃紺からエンジ色に変えた。
「(エンジ色の締め込みは)新十両に昇進したとき、師匠(尾車親方=元大関・琴風)からいただいた締め込みです。そこには、『初心を忘れない』という意味が込められています」
38歳・豪風。十両の舞台から、彼の新たな挑戦が始まる。
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